八重洲古書館にて
これだから古書店は、根気よく時々のぞいておかねばならない。
美術、歴史、考古学、芸能、書道といった専門書を置いている古書店で、案内書にある
写真のような小ぎれいな店舗である。
竹原春泉による『絵本百物語』(国書刊行会)を買って帰りかけたところで、ちかごろマンガや
絵本の掘り出し物を置くようになったコーナーをなにげないのぞいて、「おっと、まった」
と足に急ブレーキ。
喜んだもなにも、ずらり12,3冊の岡崎京子のマンガがあるではないか。
すでに収蔵している本をのぞいて次なる7冊を買った。
・VIRGIN
・TAKE IT EASY
・I WANNA BE YOUR DOG(私は貴兄のオモチャなの)
・愛の生活
・くちびるから散弾銃
・退屈が大好き
書店には3人の若い女性店員がいる。
「誰か一人の客が売りに出したのかな」とわくわく亭は訊いた。
「そうです」
「これだけ岡崎さんの本がまとまって出るのは珍しいんじゃない?」
「とても珍しいです。もうすこしあったのですが、売れたのです」
上の7冊を買うことにすると、別の女店員が残りの本をもってきて、
「こちらもいかがですか?」
「もっている本があるし、それに結構重量があるから、今日はこれで」
すでに持っている本を重ねて買ったりする失敗もやらかすので、
なんとなく怪しいのは買わないでおいた。
しかし、いまご機嫌な気分である。
久しぶりに「岡崎京子の部屋」の扉を開けて、
彼女の作品に耽溺することができる。