なぜアメリカはイスラエルを溺愛するか?(2)

こうした金融業で成功したユダヤ人たちは、1820~1870年代に主としてドイツからアメリカへ
移民としてきたのです。金融業ばかりではありません。1880~1939ころには欧州各地から
ユダヤ人が渡ってきて経済的な成功、つまりアメリカン・ドリームを実現します。
移民としてやってきたビジネスの成功者の名前をすこし列挙してみても、ユダヤ人の優秀さが見えてきます。

金融業の「ゴールドマン・サックス
デパートの「メイシー」通販の「ブルーミングデール」
ジーンズの「リーヴァイス」
化粧品「エスティー・ローダー」「ヘrナ・ルビンシュタイン」
「マックス・ファクター」「レブロン
映画「MGM」「20世紀フォックス」「ワーナー・ブラザーズ」「パラマウント」「ユニバーサル」
あの「ディズニー社」はウオルト・ディズニーが創設しましたが、その後経営が傾いてからは
ユダヤ人の資本が入り、いまはユダヤ人マイケル・アイズナーがCEOです。

マスコミはほとんどすべてがユダヤ人の創設です。
ラジオそして後にはテレビ「NBC」「RCA」「CBS」
新聞はユダヤ系ばかりです。
ニューヨーク・タイムズ」は1896年ドイツ系ユダヤ人アドルフ・オックスが買収して
いまや世界的なオピニオン・リーダーとなっています。
ビジネス雑誌「フォーブス」
「ヴォーグ」「グラマー」「マドモアゼル」などの大衆雑誌。
ワシントン・ポスト」「ニューズ・ウイーク」「ウオール・ストリート・ジャーナル」
「タイム」「ライフ」「フォーチュン」
こう有名新聞、雑誌の名前が並ぶと、アメリカのマスコミのほとんどという盛観ぶりです。

これでは、イスラエル非難の記事がアメリカの良心ともいえるマスコミに姿を見せないはずでしょう。

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もうすこしユダヤ人創業になる有名企業の名前をあげてみますか。

コンピューター業界では「オラクル」「デル」「インテル
マイクロソフト」はビル・ゲーツですが、創業のパートナーはユダヤ人のS・バルマー。

ファッションの「GAP」「ポロ・ラルフ・ローレン」「カルバン・クライン
流通業では「シアーズ・ローバック」「ホーム・デポ」「ダンキン・ドーナツ」

コーヒーショップの「スターバックス
玩具の「マテル」「ハスブロ」「トイザラス」「セガ

こうした成功者はアメリカではアメリカン・ドリームの体現者としてヒーローです。
アメリカ人が愛する、尊敬するのは「成功者」であり、成功者たちが支持するイスラエル
をごく自然に親愛感をもって支持するという内的構造ができあがっているのでしょう。

さらに、作家、演劇人、映画人、作曲家などのアーチスト、学者、ノーベル賞受賞者
多数輩出してきました。


映画人はすごいリストになる。
監督のスピルバーグが『シンドラーのリスト』を制作したのはユダヤ人として当たり前。
ポランスキーキューブリック、ソダーバーグ、コーエン兄弟ウディ・アレンなどなど。



かれらのリストを見るだけでも、ユダヤ人の民族的な有能さを見せつけられます。

そしてアメリカン・ドリームが好きなアメリか国民が、ドリームを実現したユダヤ人たちを
かれらのヒーローとして愛し、イスラエル対アラブ・パレスチナ難民の対立の局面では
イスラエル支持側につくという図式なるように思われるのです。

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しかし、ここまで来ても、まだわくわく亭には納得のいく深い理由がわからなかった。

イスラエル国家がいまのパレスチナの地に建国されたのは第二次世界大戦後だった。

それまで、第一次世界大戦まではオスマントルコ帝国の領土であった。オスマン・トルコ敗戦後、
イギリスの信託統治となった。しかし第二次大戦で国力を消耗したイギリスが世界の覇権大国の
地位をアメリカにゆずったことから、イスラエルの支援国はアメリカとなった。

その後の中東地域における度重なる戦争とパレスチナ問題、それが原因となってイラク、イラン、
シリア、アフガニスタンの戦乱へとつづいて今日に至っているが、世界が非難する
イスラエルの過剰防衛とパレスチナ難民の悲惨な状況を見ても、アメリカはイスラエル支持を
変えてこなかった。

なぜなのだ?

この疑問はまだ残る。

ところがである。

ここまでの考察に欠けている角度があることに気がついた。

それは宗教的な角度である。

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日本人は外国の宗教的な環境について考える作業がにがてです。

日本社会は世俗的社会ですが、多くの国は宗教的な社会です。

アメリカもイスラム国家に負けないくらいの宗教国家なのです。
先進国ではダントツの宗教的な国家ですが、日本人は日本とおなじような世俗的な社会だと
勘違いしています。

オバマ大統領の就任式を見た人は、彼がリンカーンがかつてつかったという聖書に片手を置いて、

大統領に課せられた責任を果たすことを神に誓約するシーンを目撃したでしょう。

アメリカの成人の82%が神を信じているそうです。

日本人では仏教、神道が主要な宗教ですが、自分が「無宗教」だと思う人が多いということですから、
アメリカとは大きな差異があります。

アメリカがキリスト教の大国であること、したがって大統領選挙には教会団体の支持が不可欠だと
いうことを解説した本を読んだことがあります。

キリスト教といっても、アメリカにはいくつもの教派がありますが、選挙などで集票能力の高い
団体は共和党を支持するキリスト教右派とか、キリスト教原理主義などとも呼ばれる教派です。

聖書に書かれていることは、すべて歴史的な事実だと信じますし、学校で人類が類人猿から分岐して
進化してきたなどと教えることは許さないのです。

そうした信仰心の厚い保守的アメリカ人が、イスラエルを支持しています。

ユダヤ教は、イエスを神の子と認めず人の子だといいますから、新約聖書にもとずいた布教をしてきた
カトリック教会にとって、ユダヤ民族とは相容れない関係になったのですが、
アメリカのキリスト教右派の人々は旧約聖書の内容すべてを人類の歴史として信じます。
旧約世界は、とりもなおさずユダヤ民族の歴史ですから、共有するものがあります。

そして、イスラエルを支援することはキリスト教徒の義務であると考えます。

牧師は「神はイスラエル愛する人を愛し、イスラエルを呪う人は神に呪われる」と聖書が
説いていると伝道します。
となれば、親イスラエルの信徒は、反イスラエルイスラム教徒は
「神に呪われる」べきと信じるでしょう。

さらに、イエス再臨の条件として、イスラエルの民であるユダヤ人が聖地イスラエルに帰還
しなければならないと信じている。
エスが再臨する日に、千年王国がはじまり、信仰をもつ民は永遠の生命を与えられると説かれて
いるが、そうとすれば、千年王国の出現はイスラエル復活がどうしても必要な前提条件に
なるのです。

キリスト教大国アメリカは、こうして宗教的にイスラエルと血縁関係にあるといえます。

なるほど、これだけの深いえにしがあるとなれば、アメリカ大統領がイスラエル支持を
表明するわけだな~。