なぜアメリカはイスラエルを溺愛するか?

アメリカに誕生したオバマ新政権によって、泥沼のイスラエルパレスチナ問題に対する、なんらかの
「CHANGE」が期待されたが、オバマ大統領は「イスラエルの自衛行為を支持する」と声明を発表して、アメリカのイスラエル寄りの従来の姿勢に変更がないことを明らかにした。

なぜアメリカはイスラエルを支持するのか、支持しつづけるのか?

パレスチナ自治区ガザへのイルラエルの攻撃は、攻撃開始から1300人以上の死者を出し、その半数近くが一般市民とみられている。ガザ地区を支配する過激派ハマスの攻撃でイスラエルにも被害は出ているが、死傷者の数は比較にならないほど圧倒的にガザ側に多い。

イスラエル兵による攻撃方法の残虐さは、「虐殺」だとまで世界から非難を浴びている。国連施設
や国連車両までが標的にされたことに、国連事務総長ははげしく抗議し、戦争犯罪の疑いをもって、
調査委員会の派遣を示唆した。

しかし、そうした世界中からの非難の嵐があろうとも、清新な「CHANGE]を標榜して登場した
オバマ大統領をもってしても、「イスラエル支持」は変わらない。いや変えることができない。

それはなぜなのだろうか?

わくわく亭ばかりではないでしょう。日本人の多くの人にとって、これは大いなる疑問ではないだろうか。

朝日ニュースター」という時事問題の討論を主体にしたテレビ局があり、わくわく亭は時々見ているのだが、このアメリカによるイスラエル支持問題が提起されると、政治、軍事、国際問題にくわしい論者たちは、お決まりの説明を次のように言う。

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(大統領選挙期間にオバマ氏はイスラエルを訪問して、イスラエル支持を表明しているが)

 アメリカ国内のユダヤ人を政敵に回せば、共和、民主どちらの党であれ、大統領候補になれないし、
 ましてや本選で大統領選に勝利することは不可能だ。

 なぜ?

 ユダヤ系の世界的金融ネットワークの資金的な支援がなければ選挙で勝利は危うくなる。

 歴代のアメリカ政権中枢にはいずれの党の、どの政権であれ、強いユダヤ系ネットワークの影響力が
 存在する。

 アメリカの主要な新聞、テレビ、雑誌の経営者、資本家のほとんどはユダヤ系であり、
 反イスラエル的な報道や、論調はつぶされるか、かなりの程度に抑制される。

 アメリカのマスコミでイスラエル非難は「タブー」でさえある。

 つまり、ユダヤアメリカ人と友好的関係維持がアメリカ大統領になるためには不可欠な要素なのだ。

 したがって、イスラエル支持を表明する。

 いまや、アメリカ合衆国にとって「イスラエル支持」はほとんど国是になっている。

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う~ん、そうした議論はよく耳にするものだが、まだ納得いかない。

いつの時代からそうなったのだろう。

欧州ではユダヤ教キリスト教とは相容れない、迫害や憎悪、殆ど反発しあった長い不幸な歴史があったではないか。

つい数日前もローマ法王庁の誰かがイスラエルのガザ攻撃を「虐殺」だと非難したことから、
ドイツ人である現法王ベネディクト16世の「ホロコースト」への疑問発言問題がむしかえされて、
イスラエル、ドイツ政府から圧力がかかって、アウシュビッツへの問題発言をして破門された司祭の
破門解除が、また取り消されたりと大騒動になっている。

カトリック教総本山であるヴァチカンですらユダヤイスラエル非難は「タブー」なのだ。
というか、カトリック世界とユダヤ教世界とは、過去も現在もしっくりいっていない。


カトリック世界で、過去において迫害を受けていのはユダヤ人ばかりではない、新教徒もまた
はげしい迫害をうけていた。

そして迫害をのがれて新大陸へ渡ったプロテスタントアメリカ建国のいしずえとなったのは、
われわれは歴史で学んだところである。

そしてユダヤ人達もアメリカへ移民を始めた。

そのプロテスタント移民とユダヤ移民の子孫が、現代アメリカ政権に大きな影響力をもっている。

欧州における宗教的対立とは異なった、密着した関係がアメリカのプロテスタントユダヤとの間には
あるのだろうか。


アメリカが独立した1783年当時アメリカにいたユダヤ系人口は、わずかに2500人だった。

現在アメリカ合衆国の全人口は3億600万人で、そのうちユダヤ系は600万人である。

そのわずか600万人の力が、どれほどアメリカの国際政治、戦略に影響を及ぼすのだろうか。

そのことを、この際、もうすこし考えてみるとしよう。

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アメリカ発の金融恐慌が2009年になっても、世界中を震撼させている。

その元凶はアメリカとイギリスの投資銀行による歯止めの効かない強欲な金融ビジネスの崩壊でした。

リーマン・ブラザース、メリル・リンチ、ベアー・スターンズは破綻し、ゴールドマン・サックス

モルガンス・タンレーは商業銀行へと転身しました。

それら投資銀行の破綻は、世界恐慌の始まりとなりました。

世界はこれから長い不況のトンネルを抜けていかねばならないのです。

この100年に1度といわれる経済危機をもたらした、アメリカとイギリスの金融システムの担い手は

そのほとんどがユダヤ系資本なのです。

イギリスに本拠を置くロスチャイルド財閥は欧州各国、アメリカに支店、系列行のネットワークを
はりめぐらせて、各国の金融政策、経済政策の根幹に強大な影響力を及ぼしてきました。
リーマン・ブラザース、ゴールドマン・サックスロスチャイルド系です。

モルガン家も有力なユダヤ系資本であり、JPモルガン、モルガン・スタンレーがその系列です。

いまさらながら、ユダヤ系資本の世界的な影響力の強大さを思い知るのです。

アメリカの非ユダヤ系金融財閥にはロックフェラーがあります。

チェース・マンハッタン銀行がその系列でしたが、いまはJPモルガンと合併して、
JPモルガン・チェースになっています。

シティ・グループという最大の金融グループがありますが、今度の金融危機で巨大な不良債権
抱えて、政府管理となっています。これもロックフェラー系でした。

ということは、ロックフェラー系が凋落しつつあり、ますますアメリカの金融資本はユダヤ系色
を濃くしています。

いまやアメリカの経済的収益の30~40%は金融業によるものなのです。
ここへきて、金融危機となりましたが、ほかにアメリカ国民を食べさせていけるだけの
収益のあげられる産業がないかぎり、一旦は後退しても、またウオール街再建に走り出す
ことでしょう。

ということは、アメリカ経済の中枢を握るユダヤ金融資本の力は必要とされます。

そして、イスラエル支持政策を捨てることはできないのです。

反対にイスラエルアメリカなしでは国家の存続が保証できません。

アメリカ政府は年間に日本円でおよそ3000億円の政府援助をイスラエルに供与してます。
その予算はイスラエル国家にとって命綱です。アメリカによる経済的援助と軍事的援助を
つなぎとめるために、イスラエルアメリカ議会におけるロビー活動は、どの国よりも
エネルギッシュにおこなわれているのだそうです。

こうしてがっちり2つの国は入れ籠の関係になっています。

             
(2)へつづく