遠い過去から届いた写真

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広島に住むA子さんから、わくわく亭のもとへ、昨日写真が2枚送られてきました。




A子さんが毎年参加する中学時代の同窓会の旅行で、彼女は同級生だったUさんから

尾道物語・幻想篇」という小説のチラシをもらいました。

それはUさんの高校時代の友人が書いた本で、みんなと同時代の尾道が描かれているから面白いと、

Uさんが宣伝したのです。

聞いてみると、本の作者はA子さんが小学生のころ、よく知っていた人のことらしかった。

それを聞いたUさんが、わくわく亭にメールで、

「おまえを知っているという女性がいる」といって住所を知らせてくれたのです。



わくわく亭にはA子さんの名前に記憶がありました。

A子さんのお母さんが、わくわく亭の母と親しくしていたことも覚えていました。

おたがいの家も近くにあって、ひんぱんに行き来していました。

そのことをわくわく亭はA子さんに手紙を書いて送ったのです。

すると、上記したようにA子さんから2枚の写真が届きました。


わくわく亭とA子さんとが写っている小学2年生のクラス写真と、その年の秋の学芸会

の芝居「サルカニ合戦」出演メンバーの写真です。

はるかに遠い過去から送られてきた、なつかしい写真たちです。

A子さんはともだちの名前を幾人か書き添えてくれました。

「だれだかわかりますか?」と訊ねながら。



小学生4年の終わりに、わくわく亭の家族は、それまで住んでいた家を売って、尾道駅裏の

小さな借家へ引っ越しました。そのためにA子さんの一家との交流は絶えたのでした。

A子さんからの手紙によると、

「私の記憶の中では、きれいだったお母さんと、目が大きく色が白かったあなたの姿が思い

うかびます。大きな家から突然に(尾道駅近くの)小さな平屋に引越していかれ、一度だけ

母と一緒に家に行ったことを思い出します。

大きな家で何不自由なく暮らしていたのに気の毒に思い、そんなお母さんの姿を見るにしのび

なかったのでしょう、一度家にうかがっただけで、その後は、母はあなたの家のことは何も

話しませんでした。

私は十浦渡しの横のM石油というところにつとめていました。社長の奥様からお茶を習っていて、

おけいこの朝、「三軒家」の井戸まで水くみに行っていました。

もしかしたら、あなたの家のそばの井戸だったのではなかったでしょうか。

もう一度、きれいだったお母さんにお会いしたかったです。

私の母は2000年に亡くなりました……」



A子さんからの手紙はわくわく亭を、すぎ去ったはるかに遠い少年時代へと誘う

なつかしさと、やさしさを運んでくれました。


A子さん、われわれ凡人にもひとしく神通力がそなわっているようですね。

こうした写真を見るだけで、われわれは数十年の時間をさかのぼって、あの学芸会の午後へと

ひとっ飛びで戻って行けるのですから。