宇宙エレベーターも実現可能に
「2001年宇宙の旅」というSF小説を書いたアーサー・クラーク氏(2008年3月19日没)には
「楽園の泉」という宇宙エレベーターを描いた小説があった。1979年の作品のはずである。
小説のあらすじを、早川書房の解説から引用させていただこう。
「赤道上の同期衛星から超繊維でできたケーブルを地上におろし、
地球と宇宙空間を結ぶエレベーターを作れないだろうか?
全長四万キロの〈宇宙エレベーター〉の建設を実現しようと、
地球建設公社の技術部長モーガンは、赤道上の美しい島国タプロバニーへとやってきた。
だが、建設予定地の霊山スリカンダの山頂には三千年もの歴史をもつ寺院が建っていたのだ……
みずからの夢の実現をめざす科学者の奮闘を描く巨匠の代表作」
宇宙エレベーターのアイディアはクラーク氏のオリジナルではないものの、この小説によって
SF小説ファンばかりか未来科学者の間でも「宇宙エレベーター」への興味が高まった。
主催で開催されたときには、86歳になったクラーク氏は居住地のスリランカから
宇宙中継によって参加し、メッセージを送り、参集した科学者たちから喝采を浴びた。
クラーク氏は作家になる以前は正真正銘の科学者だった。
静止軌道に打ち上げた衛星を通信に利用するアイディアは、彼のSF小説で最初に生まれ、実現した
ものであり、クラーク氏の小説は科学的な知識が裏付けになっている。
そのクラーク氏が2003年の上記の国際会議で、
「宇宙エレベーターは20年以内に実現する」と予言したのである。
さて、写真は本日の朝日新聞の「科学」欄の記事である。
資料提供しているのは「日本宇宙エレベーター協会」という組織。
これによると、地球から10万キロの高さに高軌道ステーションを浮かべ、その間をケーブルを垂らして
連絡させる。地上からケーブルを伝って新幹線なみの高速エレベーターで上昇する。
7日でステーションに到達。そこらか係留した小型の宇宙船で星々へと宇宙旅行ができる。
建設費は1兆円で可能とのこと。
打ち上げロケットのように使い捨てではないから経済的だし、爆発して犠牲者が出る危険性も低い。
ディズニーランドで絶叫型の乗り物に乗るより、料金は高いだろうが、
ドバイに建設中の超高層エレベーターに乗ってみる感覚で、宇宙の旅が出来るようになるかもしれない。
ちょっとデートで一週間、宇宙までってね。
アーサー・クラーク氏の訃報に接して書いた「その2001年は過ぎた」という記事も