トヨタがニンテンドーに敗れる日

金融恐慌が世界経済に波及しつつある。

あの強大な20世紀アメリカの象徴でもあったビッグ・スリーが破綻、倒産の危機に瀕している。

たとえアメリカ合衆国が凋落しても、GMは未来永劫繁栄をつづけると信じられていたのに。

なんということか。

アメリカばかりではない、日本産業界の覇者であったトヨタ自動車が、すさまじい売上減少に

苦しんでいる。

2009年3月決算で1兆6000億円の営業利益を見込んでいたトヨタは、世界的な需要減少に

見舞われて、10月31日に決算の予想変更を発表した。

見込み利益を6000億円としたのである。1兆円減額したことになる。

ゾッとするような、世界不況の波がやってくるのか。

ぞ~~~。

ところで、おなじ10月31日、ゲーム機メーカーの任天堂が09年3月の決算予想を発表した。

景気後退、円高などのマイナス要因を見込んだ予想として、

営業利益は6300億円。

ああ、ゲーム機メーカーが営業利益で、世界のトヨタを抜き去るのだと!!



任天堂トヨタの企業規模は、蟻と象ほどにちがいがある。

トヨタ: 連結売上高  23兆円
     単独従業員  約7万人
     連結従業員  約32万人

任天堂: 連結売上高  2兆円
     単独従業員  約1500人
     連結従業員  約3800人

任天堂は売上でトヨタの10分の1にも満たないし、従業員の数となると、100分の1くらい

の大きさに過ぎない。それは工場を持たないで外部に製造を委託しているから工員がいないからである。

巨象トヨタと比べればアリくらいの規模の会社が、利益で追い抜くことになる。

ホンダも、パナソニックも、ソニーも、シャープも、新日鐵も、戦後の日本の工業社会を牽引してきた

会社がみ~んな、京都にある1500人のこぢんまりした会社に敗れる日がくる。

任天堂ファミコンをはじめたころ、だれがこんな日が来ると予想しただろうか。

驚天動地とは、まさにこんな時につかう言葉だ。