住居侵入未遂事件

きのうに続いて、新聞の事件報道から。

この「事件」はたくさんのブログで取りあげられているから、どこかで目にしているかも。

7月30日の毎日新聞ニュースを転載します。

<事件>炊飯器持参で、他人の家へ 電気止められた男を逮捕 
「腹減ったからやった」と供述
7月30日12時10分配信 毎日新聞


 長崎県警早岐署は29日、同県佐世保市江上町、無職、S容疑者(49)
を住居侵入未遂容疑で現行犯逮捕した。

容疑者宅は電気が止められており、自分の炊飯器を持ち込んで他人の家の電気で
勝手に米を炊こうとしていた。

 調べでは、S容疑者は同日午後3時ごろ、電気炊飯器を持参し、
同市江上町の女性(77)方の1階窓から上半身のみを屋内に侵入させた疑い。

「腹が減っていたのでやった」と、容疑を認めているという。

 炊飯器の電気コードを持って、屋外から窓の近くのコンセントにプラグを
差し込む容疑者を女性が見つけて110番。

署員が駆けつけると、容疑者は窓の下に炊飯器を置き、
路上で横になって米が炊けるのを待っていた。

 炊飯器には米4合と水が入っていたが、
容疑者が炊飯と保温のスイッチを押し間違えたため、
米は炊けていなかった。

同署は電気を盗んだ窃盗容疑でも調べる。

この「事件」も、きのうの学校のプールで泳いだという容疑で逮捕された学生同様に、

容疑者は警察により「逮捕」されている。Sとしたが、新聞は実名で報道している。

毎日新聞の地方局の記者が、おもしろいネタとして書いた記事なのだろう。

じっさい、滑稽な話で笑ってしまう内容だ。

しかし、これを犯罪として「逮捕」して、東京のわくわく亭の目に留まるくらいなのだから、

日本全国に容疑者の実名は知れわたったということになる。

警察は逮捕はしても、金銭的被害は電気代の十数円だろうから、また家宅侵入とはいえ窓から上半身を

「屋内に侵入」させたていどであるから、微罪の扱いに落ち着くだろう。

実名報道するほどの「事件」なのだろうか。

この炊飯器事件で、わくわく亭が感じることは、

電気が止められた貧しい生活をしている、無職の49歳の中年男の「孤立」である。

昔なら、電気が止まって炊飯ができなければ、隣や近所に、米をもって行って、

「すまないが、電気が来るようになるまで、炊いてもらえないだろうか」と頼み込めば、

「いいよ、電源はそこだから、勝手に炊いていきな」

くらいの人情はどこにでもあった。

困ったときには、米を、醤油を、味噌を、貸し借りしたものだ。

そうした風景が、地方の町にも失われつつあるということなのだろう。

そして、孤立した、おびただしい数の中高年や高齢者が、日本全国にいる。

彼らがこの「逮捕」のニュースを目にしたなら、決して「笑わない」だろう。