乙女ちゃん
これ、とても面白いパロディなのだ。
パロディのネライに気がつかないと、つまらい作品に見えるよ。
定年後の父と、未婚の娘と、バンドをやっているらしい大学生の弟との3人の家庭。
母親は死んでいる。
結婚話が持ち込まれても、28歳の娘は父と、弟(この2人は仲が悪い)を気遣って、
いい返事をしない。
母親は死んでいる。
結婚話が持ち込まれても、28歳の娘は父と、弟(この2人は仲が悪い)を気遣って、
いい返事をしない。
ある晩、弟がキレて、父を責める。理由は、定年となってから、父は(死んだ母のものだったのだろう)
スカートをはいて、毎日パチンコに行く。そのみっともなさを責める。
近所では、みんなが父を「乙女ちゃん」と呼んでバカにしているからだ。
スカートをはいて、毎日パチンコに行く。そのみっともなさを責める。
近所では、みんなが父を「乙女ちゃん」と呼んでバカにしているからだ。
弟は姉に、おれたちのことはほうっておいて、結婚しろよ、という。
彼女の職場のまじめな男性が、その相手だ。
彼女の職場のまじめな男性が、その相手だ。
父が帰ってこないから、自殺でもするのではと息子と娘がさがす。
そして3人が、無事に、つれだって帰ってくる…。
「な~んだ、つまんね~」と若い読者は他のバイオレンスとセックスをテーマにした刺激的作品と
比べて、がっかりすることだろう。
比べて、がっかりすることだろう。
ちょっと、まった。
この「乙女ちゃん」はある映画のパロディなんだ。
UPした一番初めのコマ、縁談話をもってきた「志げ」おばさんと主人公「紀子」の会話シーン。
これ一枚で、
これ一枚で、
小津監督の「紀子」もの三部作、中でも『東京物語』を意識したパロディだ。
娘は(映画では原節子が演じた)紀子。
父親の名前が平井。
弟の名前が幸一。
↑「志げ」おばさんは、杉村春子さんなのだ。
となると、「乙女ちゃん」とアダナされている父親は笠置衆か?
つぎの1コマを見よう。
「母さんは幸福だったんかのう」というセリフは、笠さんの“尾道弁”ではないですか。
顔がどことなく笠さんに似ている。
「志げ」の顔が若いころの杉村春子さんに見えてくる。
「紀子」までが、原節子さん(?)かな、となってくるから面白い。
ハハハ、やってくれますね、岡崎さん、あなたひょっとして、意外なことに、
セックスとバイオレンスからもっとも遠い“小津安二郎の世界”のファンだった?
岡崎京子さんの遊び心の粋な一面が楽しめる作品です。