生人形(いきにんぎょう)
「生人形」とは、まるで生きているようにリアルな人形細工のことです。
江戸末期から見世物として出発した歴史があるせいか、近代にはいっても正統な芸術品(彫刻)と
みなされず、愛玩目的の「お人形さん」という置物の地位に甘んじてきたのです。
現代もまだ、その評価は十分とはいえないでしょう。
写真は昭和6(1931)年、二代平田郷陽の作で『粧(よそおい)』
伝統的な浮世人形の技法で、リアルで精緻な作品をつくった郷陽の代表作のひとつ。
モデルは彼の若い新妻だということです。
う~ん、たまらんな~。
人形は歳月がたつと、不気味なくらい、生きているような変容をみせるものですが、
この生人形なら、その変容もアクセプタブルではありませんか。