イギリスにいる息子から、ロンドンで撮った写真がメールに添付して送られてきた。
ロンドンのホワイトチャペル街にある3階建ての古い建物の写真。
1階がインド人が着るサリーのショップ。
2階には美容院とクリニックがあり、3階は
ミニキャブのオフィスがある。
この建物が19世紀末にエレ
ファントマンが見せ物にされていた
見世物小屋だったということだ。
1階が
見世物小屋で、2階が彼をミセモノにしていた親方の住居であり、エレ
ファントマンもそこで
動物のように生きていた。
100年以上たっても、こうして古い建物が残り、しかも使用されていることは、イギリスやヨーロッパでは珍しいことでもないが、木造建築に生活する日本人にとっては、エー、ほんと?という気がする。
おなじホワイトチャペル街にあるロイヤル・ロンドン・ホスピタルで、ここも当時のままの建物。
この病院にはいまもエレ
ファントマンの遺体が保存されている。
映画では
アンソニー・ホプキンスが演じた病院勤務の外科医が、見世物になっているエレ
ファントマンを見かけて、その奇形を研究対象にしたいと病院につれてくるのであるが、この病院がそれだという。
19世紀末のロンドンで、生まれながらの奇形で、象の頭をもった男(エレ
ファントマン)とよばれた
実在の人物ジョン・
ノリックの数奇な運命を描いた映画があった。
恐い映画だという前評判で、わくわく亭は、どこかの映画館で一人で観た。
白黒映画で、
見世物小屋の暗い通路の奥に、袋で顔を隠した彼が現れるシーンには、ぞっとしたものだ。
この写真に写っている3階建ての建物に、エレ
ファントマンがいたわけだ。