イヴ・サンローラン(3)

イヴのデザインの才能は様々な芸術家から刺激と触発をうけて、斬新な色彩を使ったモードをうみだしていますが、なかんずく、マチスピカソ、ブラックといったキュビズムの巨匠たちからの影響は顕著のようです。彼らをモチーフにしたオートクチュール作品を並べてみましょう。

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 これは1980ー81秋冬のコレクションから、マチスをモチーフにしたドレス。

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 これは1979ー80秋冬のコレクションから、「ピカソに捧げる」と銘を打った刺繍のドレス。

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 これは1988春夏のオートクチュール・コレクションから、ブラックをモチーフにしたケープ。

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 そして、イヴの1988年の「キュビズムのケープ」のクロッキーです。

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 ここで、ついでに「オートクチュール」とはなにかを話しておきます。

 オートクチュールのみならず、パリコレとかプレタポルテとかメゾンとか、パリのファッション界のニュースが流れると耳にする言葉ですが、大体のことは解っているようでも、ちゃんと意味を知らないこともあるでしょう。

 オートクチュールとは、オート(高級)・クチュール(仕立屋)という合成語で、パリの高級衣装店のことです。

 パリの格式と伝統のあるクチュール組合に加盟する名誉の衣装店をメゾン(加盟店)といいます。

 メゾンだけが、パリのオートクチュール発表会、つまりオートクチュール・コレクションに参加して作品を発表する資格が与えられるのです。
 
 その作品のこともまた「オートクチュール」と称します。

 メゾンに所属する名のあるブランド・デザイナーがヨーロッパの貴族、王族たちや、世界のとびきり裕福な階層の顧客からの注文に応じて仕立てする、一点物の高級服のことです。
 
 したがって、顧客の数は限られます。成金のお金持ちが、飛び込みで行っても相手にはされないでしょう。
 顧客は由緒正しくなくてはならないし、お金があるだけではなくて、その衣服の芸術的価値が理解できなければならないからです。
 世界で、せいぜい500~1000人くらいとされています。

 メゾンは生地の選定、縫製まで一貫してできるアトリエをもち、お針子が一刺し一刺しと手縫いする。刺繍もレースも手編みする。完成までに数度の仮縫いをして、さいごに本縫いという手の掛かる仕立て方をする。
 これでは値段が高くなるのは当然であり、数百万はあたりまえらしい。

 このメゾンに名前を連ねているのが、たとえば、
 シャネル、クリスチャン・ディオール、ゴルチェ・パリ、ジバンシイ、クリスチャン・ラクロワ
 ドミニク・シロー、エマニュエル・ウンガロ、カルバン…などなど。

 しかし、こうした一点物だけやっていてはメゾンの経済的運営は成り立たないので、既製服の製造もしており、
それをプレタポルテというのです。

 以上は、わくわく亭のにわか勉強によるものですから、あまりつっこまないでください。