イヴ・サンローラン(4)

イヴは1936年に当時はフランス領であったアルジェリアのオランという処で生まれました。

両親は保険業だったとか回漕業をしていたとかで、あるいはその両方を営んでいたのでしょう。

幼児期は虚弱体質で、そのためいつも家の中で2人の姉妹と、お絵描きしたり、お人形さんのドレスを作ったりと、女の子のような遊びをしていたらしい。

オラン時代に、たまたま両親と観たモリエールの芝居「女の学校」で、クリスチャン・ベラールが制作した舞台装置や衣裳に魅了され、それからは自分の部屋で舞台装置や衣裳のミニチュアをこしらえて遊びながら、それが自分の世界だと開眼したということです。

両親とパリに移り住み、彼はファッション・デザインの学校に入学します。17歳のときに、IWSのデザインコンクールに応募し、発表したカクテルドレスで最優秀賞を受賞。

すぐに、彼の才能は認められて、クリスチャン・ディオールのもとで仕事をはじめます。
あとは、とんとん拍子で、「パリ・モードの帝王」の地位まで登り詰めるのです。

2002年に引退し、パリを離れると、モロッコのマラケッシュというところで優雅な余生を送っているそうです。

おなじ2002年、イヴ・サンローランの創ったオートクチュール・メゾンは閉店します。
その理由は、
「イヴ以上の才能を持つデザイナー後継者を、将来においても見つけることは不可能なので、歴史に幕を閉じる」
と発表したそうで、なんという自負心の高さだろう、とわれわれ凡人は感嘆するばかりです。

     ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

イヴ・サンローランオートクチュールのいくつかと、それにかかわるクロッキーを並べてみます。


モードデザインの才能のひらめきの瞬間を、クロッキーがよ~く伝えていると思うのです。

そのひらめきの瞬間は「ミューズがのりうつる」とかと表現されます。

その瞬間、刹那を捉えないと、ミューズが呉れた、神韻とでもいうべき、芸術のイメージは、永遠に失われてしまうから、クロッキーはスピードが肝要です。
たとえ、カフェの紙ナプキンの上であろうとも、ひらめきは捉えておかないと。

その意味でクロッキーを並べてオートクチュールを観るとデザインの秘密が見えてくる気がします。

最初のは1963年春夏コレクションからで、イヴの27歳の作品。
イメージ 1イメージ 2



















つぎは1984年春夏コレクションから、水玉の絹のドレス。
イメージ 3イメージ 4



















つぎは1989-90秋冬コレクションから、「ボッティチェリの花嫁」のドレス。
イメージ 5イメージ 6