梨とリンゴ

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 十数年にもなるだろう。猫の額ほどの庭に、二本の苗木を植えた。梨とリンゴだった。

 しかし、花も咲かなければ実もならず、そのうちに一本が姿を消してしまった。

 残った木は梨かリンゴか。それがわからない。葉を見ても、果樹の知識を持たないかなしさ、さっぱりわからない。実がなれば分かるのだが(あたりまえ)。

 それが、ことし白い花をつけたものだから、梨なのかリンゴなのか?期待はふくらんだ。

 そして結果は、すでに報告した通り。

 『安野光雅の画集』(講談社 昭和53年発行)を見ていたら、梨かリンゴか、不確かな状況を、これ以上的確に描いたものはないと思える絵があった。

 安野光雅さんは飯能市の山林に別荘を建てたそうだが、きっと安野さんも梨とリンゴの苗木を、(わくわく亭と違って)広々とした庭に植えたはいいけれど、どの木がどっちだか、わからなくなって、この絵を描いたのではないだろうか。(まさか。ごめんなさい。安野画伯)