尾道少年 ヒカルくん(2)

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 僕の小説『尾道船場かいわい』で主人公の高校生が、恋人の少女を待っていたのが浄土寺の境内で、
写真はその寺の石段下を撮ったもの。石段の途中にガードが見えるが、その上をJRが走っているのです。
 少女が向島から渡ってきたのが、この浄土寺下にあった渡船なのですが、花本さんの話では、
「もう、ここの渡船は廃止になったはずです。あそこに見える日立造船の仕事が少のうなってから、ここの渡船の客も少のうなったでしょうが」
 僕は船着き場の浮き桟橋の写真と、そこから西の方角の写真を撮った。

 それが上の3枚です。

 浄土寺を撮ったのが小津安二郎監督の映画『東京物語』のシーンです。

 車を戻して、防地口から北へはいる。僕が小学4年まで暮らしていた「丸山」地区をめざしたのですが、以前はあった横道が見つからず、そのまま通りすぎる。
 かなり急な坂道だから、冷房はOFFにして、ヒカルくんが、がしゃがしゃ送風口を開閉させるから、暑くていらいらするドライバーの花本夫人が、
「やめて、ああ、やめて」と叫ぶこと。
 ちょうど、そのとき左に、西国寺裏口の標識があったから、そこへ入る。せまい山道である。
「こんな道、わたしにがてなの。あなた運転できますか」
 僕にいわれても困る。わくわく亭は運転できないのですよ。
 なんとか対向車も現れず、竹藪の中にひらいた狭い駐車場にたどりついた。

 下の2枚は西国寺の石段と市街を撮ったもの。チラリと、ヒカルくんが顔を出したらしい。
 市街の写真には遠くに浄土寺山と尾道大橋が、そして中央あたりに洋館建ての久保小学校が見える。
「おじさんは、あの小学校へ通っていたんだ」というと、
「おじさんは、UFOみたことある?」ときく。
 このハズしかたの妙が、たまらなくいい。
「きみは、どこの小学校?」
「栗原小。UFOに馬ごとさらわれた人がいるんだって」
 わくわく亭はUFOのような話には、あまりかかわらないことにしているのでした。 


            (3)につづく