尾道に映画館があったころ

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 2枚の写真(『ふるさとの想い出写真集』から)のうち、上の写真は尾道の映画館“太陽館”です。

 大正13年に建てられただけあって、怪鳥が大きく左右に翼をひろげたような大正ロマンを感じさせた
デザイン。上部の破風と中央にある塔が特徴的です。
 はじめは松竹系の映画を上映していたが、のちに洋画上映館となった。

 わくわく亭が少年の頃は、洋画専門だった。

 場所は尾道市久保2丁目、防地口のそばにあった。

 なぜ一枚の映画館の写真など、大層なことのようにブログに掲げるかというと、尾道にはいま映画館というものが一館もないからで、かつての偉容を誇った“太陽館”を見せて、「文化、文学の街」として売り出そうという尾道にも、そのイメージにふさわしい、こんな文化財的なすばらしい映画館があったことを、世の尾道ファンに知っていただこうという、わくわく亭のこころです。

 わくわく亭の小説集『尾道物語・純情篇』に収まる短編「寺の下の映画館」とは、まさにこの太陽館
のことでした。
 おなじく短編「アイスキャンデー屋の二階」に書いたアイス屋のとなりの映画館とは、
この太陽館だったのです。


 下の写真は上映映画をふれてまわるチンドン屋です。昭和30年ころの写真。

 紙の風船に「セントラル」の名前が見えるでしょう。それも洋画専門館でした。
 バックに映画館の立看板があります。スバル座の名前。
 イヤハヤ、尾道出身者、尾道ファンのみなさま、なつかしいではありませんか。

 「今日の上映映画は○と○の2本立て」とふれあるく名物男の物語が、おなじく『尾道物語』の中の
小説「手のひらの記憶」です。

 春の市町村合併で、尾道市は人口15万人にふくれました。

 自分の町に映画館がないから、少年少女たちは最新のアニメ映画、ハリーポッタージョニー・デップの海賊映画を観るために、隣町である福山市までJRでお出かけというしだい。

 シネコンをショッピングモールの中につくってはいかが??