鯨と京伝
江戸天明4年に催された「手拭合」の出品作から、「熊野染」です。
黒地に目だけを染め抜いて、鯨の接写をした趣向です。じつに奇抜で、斬新。ポップアートの感覚です。
江戸時代、捕鯨が盛んだった紀州の熊野灘から名前をとって、「熊野染」とよばれているらしい。
作者不明だそうですが、山東京伝のデザイン集『小紋裁』(こもんさい)に原形らしきものが残されているそうですから、あんがい、これも京伝の作なのかもしれません。
ついでに、京伝の肖像画も掲げておきましょう。
フラッシュの光が入って、決して成功したものではないのですが、まずはどんな顔をした万能芸術家だったか、ごらんください。
吉原ではもててもてて、という艶福家だった人です。(あやかりたいね)