2007-08-15から1日間の記事一覧

「母の詭弁集」から [3]

『姫路文学』119号に書いた「母の詭弁集」から、91歳晩年の母のエピソードのつづきです。 《その7》 外出中の妻の名前を、母がいつまでも呼びつづける。 91だというのに、びっくりするほどの大声である。 「まだ帰ってないんだって言ってるじゃない…

「母の詭弁集」から [2]

『姫路文学』119号に掲載した「母の詭弁集」から、晩年91歳の母のエピソードのつづきです。 《その3》 僕は浴室で顔を洗っていた。廊下をすっと人影がよぎったような気がした。 まさか、ベッドからすぐわきの携帯式便器までしか動けないはずの母が通っ…