映画監督前田陽一の会

 
 きのうは横浜へ行ってきました。

 桜木町で、昼間は雑誌「酩酊船」合評会。夜は「ヨコハマ前田友の会」です。

 「前田友の会」というのは、1998年に亡くなった松竹の映画監督、前田陽一さんのファンのつどいです。
 
 前田監督は横浜に長く住んだことがあって、生前の監督と親交のあったファンがたくさんいて、いまも毎年この時期に数十人があつまり、前田監督の映画を上映し、関係者が思い出を語り、さいごにみんなで酒盛りをするという会なのです。

 はじめのころは、松竹の現役の監督、脚本家、助監督、俳優、女優さんたちも顔をみせてくれました。そうした映画関係者の参加は年々少なくなってしまうのは仕方ないことですが、ファンの数は減りません。
 きのうだって、40人ほどが『つっぱり清水港』を見て、30人ほどが居酒屋の2階にくりこんだのですから、前田映画人気は健在ですね。

 僕は生前の前田さんと面識はなかったのです。僕が参加している同人誌「酩酊船」は、もとは前田さんと彼の高校時代の友人たちが始めた雑誌だったのです。ということは、前田さんも文学青年だったということです。

 前田さんが亡くなった後で、縁あって僕も「酩酊船」の同人になったのですが、浮世とはそうした行き違いが多いものときまっています。

 僕の本棚に『含羞のエンドマーク』という前田陽一遺稿集があります。

 映画監督でなく作家になっていてもおかしくない、と思わすすぐれた文章の数々がおさめられています。この本を手に入れることは、いまとなっては、ちょっとした難事でしょう。
 これは、僕わくわく亭の蔵書の中でも、とっておきのお宝本です。