「この世界の片隅に」

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アニメ「この世界の片隅に」をTジョイ大泉で観てきた。

とても上質な作品だった。

原作のマンガにつては書評も書いているが、原作にない画像も多数あった。

アニメ冒頭の広島市街の詳細な絵とか、呉港に入港している軍艦の絵、米軍爆撃機による軍港爆撃図、

呉の朝日遊廓の絵など、原作に無かった絵であったり、原作より詳細に描かれたりして興味深かった。

主人公の北條すずが道に迷って入り込んでしまう朝日遊廓内で、娼妓の白木リンと知り合うのだが、

遊廓内の洋風の建物が建ち並ぶ風景は、当時の写真資料などをもとに詳しく描かれたのだろう。


呉で最大の遊廓が朝日遊廓だった。近くには吉浦遊廓、音戸遊廓があった。

戦後占領軍が広島、呉地区へ進駐してくると、日本政府の命令で呉、吉浦、広、江田島に占領軍兵士

のための特殊慰安所を設置するのだが、当然朝日遊廓がその一つになる。

しかし慰安婦の獲得には困難をきわめ、県下の他地区の遊廓から協力をもとめた。そこで尾道の久保

遊廓から70名の娼妓が派遣される。

その辺のことも含めて「戦後尾道駅前広場の光景」という論文を「尾道市立大学地域総合センター

叢書」の次号に書いたところなので、ことにこの呉の朝日遊廓在りし日の風景は興味があった。