新選・百人一首

イメージ 1



「文藝春秋」の2月特大号が“代表的日本人の「新選・百人一首」”という特集を組んでいる。

政治家、財界人、軍人、歴史人物、作家、詩人、評論家、学者、宗教家、思想家、芸術家、その他

各界の著名人の短歌から選んだもので面白かった。

中でも最も興味深かったのは連合艦隊司令長官山本五十六が、昭和17年7月に愛人の河合千代子

へ送った手紙に書かれた恋歌である。

  うつし絵に口づけしつつ幾たびか 千代子とよびてけふも暮しつ



昭和17年7月といえば、太平洋戦争の最中であり、7月には日本軍はフィリピン全土を占領して

いるが、その前月6月5日から7日にかけてのミッドウェー海戦では日本軍は敗れている。

当時山本長官は呉軍港にいて58歳だった。「うつし絵」とは写真のこと。手紙の翌年昭和18年

4月16日山本長官はブーゲンビル島上空で米軍機に撃墜されて戦死する。


選者の歌人永田和宏氏の解説によると、千代子さんは銀座の芸者置屋の女将で、当時38歳。

山本長官が戦死すると、千代子は海軍省から自決を迫られた。結局は自決は免れるが、五十六からの

手紙約60通は没収される。ただ彼女は数通だけは隠し持っていて、その中の1通にこの

恋歌が記されていたという。

イメージ 2