劇団東演

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11月12日、下北沢の東演パラータで劇団東演第141回公演を観劇した。

現代フランスの劇作家ギィ・フォワシィの2作品「相寄る魂」と「ファンファーレを待ちながら」

を観た。

後者がすこぶる面白い。老人ホームに暮らす三人(2人の老婦と1人の老爺)が路傍で祭礼の

ファンファーレの演奏行列を待ちながら、ホームの生活、食事やホーム内の人間関係への不平、

不満をお喋りをする。舞台は始めから終わりまで、彼らの面白おかしい饒舌が楽しむことになる。

戦争体験を経て厳しい人生を生きてきた彼らを、若い世代はまるで社会の余計者のように扱うと

嘆きながら、せめて祭りの行列を最前列で見て、この一日を楽しもうと待つのに、行列は遙か彼方

の道を行きすぎる。場所を間違えたのだ。一人の老女が「去年もそうだったわ」と思い出す。

滑稽な話なのだが、人生に不条理が埋め込まれた苦い哀しみが染みてくるような後味がする。

サミュエル・ベケットの不条理劇の代表「ゴドーを待ちながら」を連想させる。

高齢化社会日本で上演するにふさわしい作品である。


下北沢駅から東演パラータまで歩いて行く途中で、一軒のたばこ屋を見つけた。

たばこだけを売る店舗兼住宅。昔はどこにでもあったが、いまでは殆ど見ることのない

「たばこ屋さん」である。20個ほどのタバコと少しのライターが陳列されていた。


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