あれは何だっけ?
花が咲くのは数年先かも、といわれていた。
同時に植えたシダレザクラは、植えた去年の春から花が咲いた。
ことしもヤマザクラの花は期待していなかったのだが、さきほど一輪だけ花が咲いたのを
二階のベランダから見下ろしながら、見つけた。
階下に下りて、女房に教えてやると、どこに花があるの、と濡れ縁まで出てきた。
あそこだよ、と指さして教えた。
そんなことをしている時に、隣家との仕切りのブロック塀の上を渡っていく動物に
気がついた。
「ちょっと変わった猫ね。いや、猫じゃないわね」と女房。
「まてよ、あれは何だったっけ」
わくわく亭は、すぐに思い出した。
「そうだ、あれはタヌキだよ」
「えっ、タヌキがこんなところにいるかしら」
「まちがいなく、タヌキだよ。どこかで飼っていたのが逃げたか、飼い主が捨てたかしたんだろう。
それに、遠くの山にしかいなかった野生動物が、都市の住宅地にまで出没するようになっているらしい
から、あのタヌキもそれなのかも知れないぞ」
「保健所かどこかに通報する必要があるかしら」
「タヌキくらい、そんな必要はないだろう。そんなことより、自宅の塀の上にタヌキを見ようとは
思っても見なかったな」
とっさに写真が撮れなかったことが残念に思われる。
追伸:
さきほど外出先から帰ってきた息子にタヌキの話をすると、数年前から、近くの公園などでは
タヌキを見ることは珍しいことではない、のだそうだ。
それにしても、庭先でタヌキがうろうろするようになるとは、東京も変貌しているよ。