スクールカースト

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『教室内(スクール)カースト光文社新書、定価:本体840円

新聞の書評で紹介されていたので読んでみた。

著者はまだ東大大学院の研究生であるので、文章は学術的ではないが、若者らしい

柔軟な率直なもので、問題が身近なリアルなものとして扱われているから、へえ、そうなのか

と興味深く読むことができた。

いまの中学、高校の教室は人気のある生徒、人気のない生徒、その中間にあるある生徒が

はっきりとしたカースト(身分、階級)に別れて所属しており、それは中学、高校を通して

不変であり、その格付けを先生も、クラス運営に利用しているという、やりきれない現実を、アンケート

やインタビューから、なまなましく分析した報告書。

日本のクラスは、教室の席まできめられて、最初にどれかのカーストに格付けされたら、

卒業まで逃げることのできない「牢獄」のようなもの。

生徒たちも先生も,気がつかないうちに、いじめの温床になっていく。

たとえば、トップは一軍と呼ばれて、女子なら「ヤンキー」「清楚系」、つぎにカースト

2軍で「普通」、そして3軍は「地味」「静か系」「めっちゃ地味」と格付けされる。

1軍は運動部、さわがしくふざけまくって、バスに乗るときは最後部でかたまってうるさい。

1軍は教師との会話がスムースにできるから、先生はそれを「コミュニケーション能力」があると

解釈する。生徒の側は、そうした行動をとれるのは1軍の「権利」ととっている。

そこにギャップがある。2軍以下は、1軍がいるところでは口が出せない。

そのため先生は「コミュニケーション能力」不足と解釈する。


われわれにも中学、高校で、たしかにそうした経験はあるが、その程度が決定的に違う。

これでは、3軍のカーストに格付けされた、おとなしい、静かで、目立たない子は、つらい

6年間の「牢獄」生活を強いられることだろう。

たしかに、いじめの温床が「スクールカースト」にあると思える。

問題解決の方法まで提起した本ではないが、学校現場の問題点を、カーストという視点から

指摘したレポートであり、興味深い内容だった。