スクールカースト
新聞の書評で紹介されていたので読んでみた。
著者はまだ東大大学院の研究生であるので、文章は学術的ではないが、若者らしい
柔軟な率直なもので、問題が身近なリアルなものとして扱われているから、へえ、そうなのか
と興味深く読むことができた。
いまの中学、高校の教室は人気のある生徒、人気のない生徒、その中間にあるある生徒が
はっきりとしたカースト(身分、階級)に別れて所属しており、それは中学、高校を通して
不変であり、その格付けを先生も、クラス運営に利用しているという、やりきれない現実を、アンケート
やインタビューから、なまなましく分析した報告書。
日本のクラスは、教室の席まできめられて、最初にどれかのカーストに格付けされたら、
卒業まで逃げることのできない「牢獄」のようなもの。
生徒たちも先生も,気がつかないうちに、いじめの温床になっていく。
たとえば、トップは一軍と呼ばれて、女子なら「ヤンキー」「清楚系」、つぎにカーストは
2軍で「普通」、そして3軍は「地味」「静か系」「めっちゃ地味」と格付けされる。
1軍は運動部、さわがしくふざけまくって、バスに乗るときは最後部でかたまってうるさい。
1軍は教師との会話がスムースにできるから、先生はそれを「コミュニケーション能力」があると
解釈する。生徒の側は、そうした行動をとれるのは1軍の「権利」ととっている。
そこにギャップがある。2軍以下は、1軍がいるところでは口が出せない。
そのため先生は「コミュニケーション能力」不足と解釈する。
われわれにも中学、高校で、たしかにそうした経験はあるが、その程度が決定的に違う。
これでは、3軍のカーストに格付けされた、おとなしい、静かで、目立たない子は、つらい
6年間の「牢獄」生活を強いられることだろう。
たしかに、いじめの温床が「スクールカースト」にあると思える。
問題解決の方法まで提起した本ではないが、学校現場の問題点を、カーストという視点から
指摘したレポートであり、興味深い内容だった。