映画監督高林陽一逝去
並べて掲載された。高林さんは7月15日肺炎で亡くなった。81歳だった。
(1980)、「雪華葬刺し」(1982)、「涯てへの旅」(2007)などがある。
記事にもある通り、「本陣殺人事件」で商業映画に進出したときには、大林宣彦監督とともに
「撮影所育ちでない新世代の」登場といわれた監督だったが、商業映画より自主制作の映画を
精力的に作った映像作家だった。
大林監督とは昭和30年代から親交が続いていたということだ。
なぜ、わくわく亭がこの新聞記事を紹介するかというと、高林監督の次の制作映画になるはずだった
「夜が明けたら」というシナリオが、ここにあるからなのだ。
東義久さんの原作小説と高林監督のシナリオをコラボした本が、澪標の松村信人さんのもとで
出版されたのが、ことしの4月である。
澪標は関西では少数派の文芸出版の会社であり、わくわく亭の過去11冊の本すべてを出版して
くれているのが、ほかならぬこの澪標なのだ。
本の中に収められた写真には京都のお茶屋で、高林監督、東義久氏、松村さんたちが懇談する
情景がある。
監督の年齢から考えても、この「夜が明けたら」は最後の映画制作になったかも知れない。
しかし、映画は作られることなく、監督が7月に亡くなった。
本の帯文に大林監督が「この小説と高林映画との邂逅もまた、恋であるだろう」と書いているが、
恋は実らず終わったことになるだろう。
それだけに、この本は高林映画ファンにとって垂涎の的になることだろう。