『尾道物語・旅愁篇』の感想

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尾道物語・旅愁篇』への感想、批評が寄せられている。

これまでに寄せられたものの中から、いくつかご披露する。

尾道在住の詩人Yさん(女性)から
朝晩いくらかしのぎ易くなりました。2日ほど前に福屋啓文社で買い求め再読していた

ところでした。

「富士見橋の理髪店」何度読んでも面白いくため息がでます。

「尾道のラーメン」もこころゆくまで懐かしい心情が書かれていて、

この種の短編ではこれ以上ない気がします。

秋の初めにふさわしい表紙も新鮮でとてもいいと思いました。(略)


作家Mさん(元出版社、男性)から
「三原まで」は雑誌掲載時は、姉が自死するまで、もっと細やかな愛の交歓が

あったような気がしていましたが、今度読んだ感じでは、意外にさらっと読めました。

単行本では、少し削除されたのでしょうか。

「尾道のらーめん」以外は、かぐわしい森岡流エロチシズムが横溢していて、

今回も楽しめました。

なかでも「二月の岬」の64頁「もつれるようになりながら歩こうとして、

…力が抜け放心したように、彼女は僕の両腕の中から身をずり落として、

両膝が地面についていた」など、ドキリとしましたよ。(略)


同人誌作家Fさん(男性)から
尾道物語・旅愁篇』楽しく読ませていただいています。

またまた名作がうまれましたね。

「三原まで」は姫路文学で読み、ひどく感銘を受けていた小生です。ここに改めて再読の機会を得、

清純さに、バックの描写に、おとし処に、心の中でうなっている自分でした。

「二月の岬」も幅のひろがりが、こにくいところ以上に、伸びやかで、読むほどに楽しく切なく、

快適になっている小生です。

現実が白昼夢に化していたり自由闊達な筆致に、ひそかにマジシャンと呼んでいます。


児童文学作家Tさん(女性)から
純情篇、幻想篇のつづきは、少し活字が大きくなって読みやすくなりました。年代に合わせられた

たのかも…と勝手に想像しています。さらさらと拝読できて、「富士見橋の理髪店」「尾道の

ラーメン」は特に味わい深かったです。ご兄弟の会話がさりげなくて情感が感じられました。

私も先日広島まで行ってまいりましたが、ほっと一息つける土地かも知れません。(略)


俳人Kさん(女性)から
旅愁篇』一気に読ませていただきました。森岡さんの作品は読み易く、淡々とした中に

切なくなるような哀感が漂っていて、いつも楽しく読ませていただいています。


同人誌作家Mさん(男性)から
(略)一言で申し上げて、どの作品も面白く楽しく読ませていただきました。

もちろん文学的深みもあるのですが、私はまずストーリー作りの上手さに感心しました。

たとえば「あびこ物語」はどんな物語ができるのか読者に大きな期待を持たせながら、主人公が

東京転勤になってしまったり、「二月の岬」は父が残したメモという形をとっている所などです。

私は、これは実は作者の紀行ではないかと思って読みました。いずれにせよ小説の楽しさを

存分に味合わせてくれる作品ばかりです。


詩人エッセイストFさん(女性)から
文学という石を積み上げて造った石垣の町に、また一人作家が産まれましたね。

産土神を愛し、産土神に愛されて、故郷との契りは、どこまで書いてもあたたかく、

なつかしいとは何としあわせな作家なんだろうと、お作品を読む度に感動してきました。

作家が大きく深くなれば故郷も大きく深くなりますね。

読者も広く深くなっていくでしょう。御大成下さい。


出版プロデューサーHさん(女性)
倉本さんの装幀もなかなかのものですが、私といたしましては、ちょっと内容と違和感が

あるような…これは元編集者のやっかみかもしれません。

拝読してないのは二作のみ。来週からニューユークへ行きますので、ばたばたしていますので、

帰国してゆっくり再読と思いつつ、つい未読の二作読まされてしまいました。

荷物を詰めながら目が本に行くなんて、やっぱり作品の魅力でしょうね。

私からみれば、森岡さんはまだまだこれからの時間がたっぷりあります。構想されている

作品も沢山ありますし、羨ましい限りです。


日本文学研究者、大学名誉教授Mさん(男性)から
「二月の岬」拝読。川端康成の「伊豆の踊り子」を少し生々しく色づけした作、一方では

田宮虎彦の「足摺岬」を思い起こしながら一気に拝読しました。

(他の作品については)そのままに引き込まれて一気に孔雀荘、朱華園まで深々と懐かしい

尾道を想い起こしつつ読み切りました。「二月の岬」は「富士見橋の理髪店」などと重ねて

少し楽しい余韻にひたり、「三原まで」「あびこ物語」に趣向の余韻を。「隠れ里の記」

に生の退嬰を何だか思いあたるもののある感じで拝読。

暑さを忘れた大切な時間でした。


高校時代の友人(女性)から
私は「隠れ里の記」が一番印象に残りました。一番踏切も孔雀荘も懐かしく、

今も存在しているのだろうかと、あの踏切あたりを思い出しています。

「シューさん」のラーメン店にはこの夏行きました。渡し場近くの店は一杯だったので、

高須の店舗に行きました。数年前の味より昔の味に近く、スープをのむ事ができました。
(略)