「世界経済の大潮流」

イメージ 1


エコノミスト水野和夫さんの『世界経済の大潮流』(太田出版)はまことに多くの示唆に富む

本だった。

日本の超低金利を、われわれは日銀による景気対策として、さほど驚くものと気にも

していないが、水野さんによれば2%を下回る超低金利が16年にも及ぶ例は、過去の

最長記録であるイタリア・ジェノバの1611年~21年までの11年間をはるかに超える

世界記録であり、さらに継続中という異常な低金利革命だということだ。

日本のみならず、アメリカが続き、ドイツがつづく。

これは世界的なデフレ状態であり、英米日が謳歌してきた近代の終焉だという。


ギリシャ、スペインの金融破綻はどうなるか。

水野さんはドイツによる救済しか方法はなく、EUは「ドイツ第四帝国」になるしか道はないと

いう。

ところで、実に示唆に富む指摘が、原発廃炉についてあった。

いま政府・民主党は自民、公明両党と消費税・社会保障一体改革の協議をして、その山場を

迎えている。さらに原発廃炉を40年としていた政府方針を、3党協議で見直して、法案には

見直しができるという条項をつけようとしている。

この40年についてなのだが、

水野さんによると、原発は当初40年で減価償却を終えて、そこから先は、発電コストが

劇的に下がると見込まれていたのだそうで、そうだとすると、電力会社も政府も40年で廃炉

したがらない理由は、償却が終了した後の莫大な利益を期待していたからではないのか、

と思われてくる。利益優先の姿勢が隠されていることになる。