尾道町絵図

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5月の尾道旅行目的の一つが、この絵図のコピーを手に入れることだった。

写真には大小2枚の絵図が写っているが、絵図は同じものではない。

下のB4サイズのは、ある写真集から拡大コピーしたもので、原図は尾道図書館が所蔵している。

それは文政4年(1821)3月の「尾道町全図」というものであり、町役人だった亀山士綱が

制作させたタテ3メートル、ヨコ7メートルという巨大な絵図がオリジナルなのだ。

文化13年(1816)に尾道町には2926戸の家屋があったと亀山士綱は『尾道志稿』に

記しているが、そのうちの主要な家屋の持ち主の名前を、絵図上に克明に記入させている。

これを見れば、歴史上の人物がどこに住んでいたか知ることができるのである。


わくわく亭は小説を書く必要上、文化文政期の尾道で、数人の人物の住んでいた家を特定したかった。

手持ちのB4サイズのコピーでは無理だった。


尾道図書館には原図のほかに、昭和57年に藤井吉蔵という人が原図を模写して作った複製版

も所蔵されていると聞いていたから、それを見るために5月25日、ホテルからタクシーで

図書館へ行った。

図書館長の許可をもらう手続きをして、女性館員の手で、複製絵図のコピーをしてもらった。

B4サイズで合計18枚になった。


練馬の自宅に戻ってから、セロテープとノリを使いながら、切り貼りして完成させたのが、

写真の大きい方の絵図である。

見つけたかった家屋の殆どは見つけることに成功した。

この絵図のおかげで、およそ半分書き進んでいた歴史小説のいくつかの場面を修正しなければ

ならなくなった。人物たちの住んでいた場所が間違っていたからである。

小説の完成は遅れることになる。

しかし、これほど詳細な住宅地図があれば、物語の描写は格段にリアルにできる。

あれから、毎日何十回絵図を、拡大鏡を使って隅々まで眺めては、満足と

感歎の溜息をついていることか。

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