『ふしぎなキリスト教』

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講談社現代新書の『ふしぎなキリスト教』が第5回新書大賞を受賞した。

新書大賞とは、その1年間に刊行された新書の中から「最高の一冊」に贈られる賞だということで、

中央公論新社が主催している。

第5回となる「新書大賞2012」は、2011年に刊行された1500点以上を対象に、

新書に詳しい書店員や書評家、各社の新書編集担当者ら67人の投票によって選考され、

社会学者の橋爪大三郎大澤真幸が討論する形式の『ふしぎなキリスト教』に決定した。

わくわく亭が買って読んだのは去年の秋だったと思うが、たしかに面白かった。

新書大賞を受賞したと聞いたので、紹介をしておきます。

3部から構成されており、

第1部は「一神教を理解する――起源としてのユダヤ教

第2部は「イエス・キリストとは何か」

第3部は「いかに〈西洋〉をつくったか」

で、とくに1部と3部が、従来数知れず刊行されてきた「キリスト教とはなにか」という入門書

が十分に踏み込んでこなかった部分、領域についても討論して、そうだったのか、と

蒙を啓いてくれる。

中東、パレスチナ問題で、イスラエルを徹底して支持するアメリカの態度を、

アメリカを宗教国家と見なければ理解できないと、わくわく亭は考えてきたが、

この「第1部」はとても参考になった。

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第3部も興味深い。

宗教としては、おなじ神をいただき、ユダヤ教キリスト教の後に現れた、

イスラム教はキリスト教よりもはるかに合理化された宗教だった。

当初はイスラム教の方がリードしていた。

それが何故近代化において、キリスト教圏が主導権を握ったのか。

それはイスラムにはイスラム法があって、すべての世俗法の上にあるから、

近代化ができない。この分析は、なるほどと教えられた。

また、宗教をアヘンだと排除する唯物論の頂点であるマルクス主義が、

その世界観や歴史観は、すみずみまでがキリスト教の終末論の再現であるという

論議は新鮮だった。

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定価840円はお買い得であると、わくわく亭は保証します。

参考までに、1部と3部の目次を掲載しておきます。