エジプト政変と人口問題

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1月31日に「日本の少子化は世界を救う?」という記事を書いた。

チュニジア、エジプトのデモや政変の背景として世界的な人口爆発と食糧問題があることを指摘した

のだが、今日の朝日新聞が「中東政変 背景に人口増」という記事を掲載している。

視点がわくわく亭と同じなので、記事の中の数字を拾って紹介したい。


エジプトの人口

1980年(ムバラク大統領就任の前年)  4400万人

2010年                8400万人

この30年間に人口は4000万人も激増している。

さらに2010年の24歳以下の若者の人口比率は52%となっている。

アメリカCNNによると、全国民の平均年齢は22歳という若さである。

平均年齢が22歳と言うことは、ムバラク大統領が30年前に就任した時点では

国民の大部分はまだ生まれていなかったといえる。

人口が爆発的に増加した要因は、強権的支配下ではあっても、政治的安定で観光客が世界から

集まって観光収益が増え、欧米からの援助や投資があったことなどで一定の経済成長があり、

GDPは30年間で10倍になったこと、周辺の貧しい国々から人口の流入があったこと、

医療水準が上がって乳児死亡率が低下したこと、さらにはイスラム教では避妊は神の

意志に反するという信仰上の理由などがあげられる。

しかし、その程度の経済成長では、激増した若者人口に満足な教育も仕事も与えられなかった。

15~24歳のエジプト男性の失業率は23%である。

平均年齢が22歳というのだから、実質的な若者の失業率はCNNが言うように50%

ていどなのかもしれない。



そして、食糧問題がある。

エジプトをはじめ、北アフリカ西アジア(あるいは中東)は乾燥地帯が多いから、食糧の

輸入国が多い。エジプトは世界第3位の小麦輸入国である。

世界的な人口爆発や気候変動、投機などによって、食糧価格は年々上昇する。

この数年で2倍以上になっている。

2008年、エジプトではパンの品不足が原因で民衆の暴動が起きた。

2010年、食糧品は高騰して、国民の不満が高まる。

2011年、1月に食糧品価格は過去最高水準となった。


そして、チュニジアの若者の焼身自殺が火をつけてチュニジア政権の崩壊。

その火はエジプトに飛び火して、大規模デモと政治的混乱となっている。


30年間で4400万から8400万人に人口が激増したエジプトで、

35歳以下の若者はおよそ5600万人とCNNは言い、それほどの人数に

観光資源しかないエジプトが満足いく仕事を与えることは不可能ではないのか。

国民の40%(3360万人)が一日2ドル(160円)以下で生活をしている

貧困国エジプトは、ムバラク大統領が退陣して後、たとえ民主的な選挙によって

新政権が生まれたとしても、この人口爆発と食糧問題をどうやって解決していくのだろうか。