たくさんの新しい親戚

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11月27日の夜、レンタルのワンボックスカーで、うるま市与勝半島先端の平敷屋に向かう。

車内にはジュン・アキナ夫婦と双子のミウとミク、わくわく亭夫婦とダイスケの7人である。

アキナの実家に彼女の両親を訪ね、お祝いと挨拶をするためである。

アキナは11人姉弟の5女である。

9人の姉妹と2人の弟がいる。

まさに大家族。

夫婦に子供1人か、子供のない夫婦がほとんどの現代日本で、表彰ものの11人の子だくさん。

アキナの姉妹の子供達も集まって来ていたから、ほんとうに大勢に迎えられた。

中層アパートの2階の部屋が両親の家であるが、隣の別棟にも部屋を借りていて、

別れて住んでいるのも、もっともの大家族なのだ。

お父さんは、とてもシャイな人である。

初対面の相手が、とにかく苦手なのだ。

あらかじめ、今夜の訪問は双方の都合を相談し合ってセットしてあったのだが、

車の中から、アキナがケータイで「いま向かっているから」と連絡して父親の様子を

訊いた。

「父は、家にいます。缶ビールを6本飲んだから、すこしは話ができそうです」

「お父さんは、お客がくると、家から出て行って、なかなか帰ってこないから」と

アキナとジュンが解説する。

ジュンがアキナと結婚したいからと、両親の承諾をもらうため初めて訪ねたときには、

顔を合わせただけで、ものの5分ばかりで、お父さんの姿が消えたそうだ。

「5分でジュンちゃんは追い出されたんですよ」とアキナが笑わせる。

「姉や妹が結婚することになって、相手の男性が挨拶に訪れたときも、お父さんは

いなくなってしまったから、ジュンちゃんは5分でも顔を知ってもらっただけよかったんです」

「きょうは、家にいて、お父さんはがんばっているなぁ」とジュン。

「ビール6本も飲んで、がんばってます」とアキナ。


そのお父さんにわくわく亭は挨拶ができた。

挨拶もそこそこに、われわれ訪問者全員の手にもビールのグラスが握られて、にぎやかに

祝賀の乾杯となる。

お父さんは、休むことなしに話がはずむ。

日頃は、家に家族といても無口な人らしく、「こんなに話をする父を見たことがない」

とアキナと妹のアキエさんが驚いてみせるのだ。

お父さんは59歳で、お母さんは56歳。

若いときから米軍基地の中で働いてきた。

「何人もいるおじたちは、みんな漁師をしていますが、わたしだけは基地で働きました。

土曜も日曜もないです。仕事があったら、いつでも働きます。だから、身体じゅう、こうして

湿布薬を貼っています。お酒を飲まないと、やってられません」とお父さんの苦労話も、

わくわく亭は聞く。

「娘たちは、はやく結婚して出て行ってもらいたい。どんどん行ってほしい」

「孫もつぎつぎ生まれるから、名前を覚えるのも大変でしょう」ともちかけると、

「娘も孫も、まちがえてしまいます」とホントか冗談か、まじめな顔で話す。

お母さんを交えて、祝杯を重ねる。

お母さんは、控えめで、やさしい人柄。だが、苦労しながら11人の子供達を産み、育ててきた

文字通りの“肝っ玉”母さんだ。でん、と大家族の真ん中にいて、家計でも、子育てでも、

精神的な太い柱としてやってきただろう。

この朴訥で誠実な人柄の両親のもとで育ち、両親の並々ならない苦労を知りつつ育ったアキナだから、

彼女の心のやさしさにも、しっかりとシンが通っているのだろう。

都会の一人っ子として育った娘とはちがう。


たくさんの写真を撮った。

倅たちがお父さんと握手したり、肩を組み合ったショット。わくわく亭と握手するショット。

両家の夫婦がミウとミクを膝に抱いたショット、などなど。

あっという間に、楽しい時が2時間も過ぎた。

まだ中学生らしい制服姿のアキナの妹や、外出から戻ってきた高校生の弟も顔をみせたが、

だれがだれやら一度の訪問ではわからない。

ただ、とてもいい新たな親戚が、こんなにたくさん沖縄にできたことで、

わくわく亭はうれしくて、感動しているのだ。