谷口ジロー

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関川夏央谷口ジローによる『「坊っちゃん」の時代』が1998年の手塚治虫文化賞

マンガ大賞を受賞したときに、写真の3巻を買ってきて読んだ。

坊っちゃん」を執筆していたころの夏目漱石を軸にして、鴎外、啄木、子規、一葉、二葉亭、

秋水など文学者の生活を通して明治という時代を描いた作品で、1987年から1997年まで

10年にわたってマンガ雑誌に描き続けられた大作だった。

この時点では、わくわく亭は文芸評論家として関川夏央については知っていたものの、

谷口ジローというマンガ家については名前すら知らなかった。

このシリーズ(全5巻)が谷口ジロー初体験だった。




それから、およそ10年も経って、去年近くの大泉図書館で「父の暦」を読んだ。

そして今年になって、「ついに世界が、谷口ジローを発見した」というコピーを

目にすることがあり、

おや、谷口ジローという作家は外国で評価が高いらしい、どんな作品が海外で読まれて

いるのだろうか、まさか『「坊っちゃん」の時代では』あるまいし、『父の暦』でも

ないだろう。

海外で読まれているという作品を読んでみたい、という気になったのです。

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4月に雑誌「ユリイカ杉浦日向子総特集号を紹介したが、

その雑誌の中に小山ブリジットという美術史の研究者が、杉浦日向子のフランスでの受容

について「フランスに江戸の夢を」という談話を載せていた。

そこに谷口ジローが「今フランスで一番愛されている漫画家の一人」として紹介されていた。


  「もちろん『ドラゴンボール』とか『ポケモン』とか、そういうものも出版されて

   それらも売れてはいるんですけれど、やはり谷口さんのものがよく読まれています。

   フランス人というのは、やはりどうしても考えさせてくれるものが好きなので、

   そして谷口さんの漫画は例えば誰も入らないような道に主人公が入っていって

   その雰囲気を観察したり人生について考えたりするものですから、

   これはフランス人にとっては最高の作品なんです。

   谷口さんの漫画は新しく出版されるとベストセラーになったりして、私も

   大好きな作家です」


そこで、ヨーロッパで受賞したり翻訳されたりしている作品をしらべてみた。

すると、「父の暦」(スペイン語、フランス語)

    「晴れゆく空」(イタリー語)

    「遙かな町へ」(フランス語、イタリー語、ドイツ語)

    「神々の山嶺」(フランス語)

などなどである。

これでは、読んでみないわけにはいかないではないか。


そこで、いま書店ですぐに手に入るものを買ってきた。

孤独のグルメ」「冬の動物園」「歩くひと」「犬を飼う」「欅の木」である。

それらを紹介しよう。

フランス人が谷口ジローに夢中になるはずである。

                
                    つづく