風の神
《風にのりて所々をありき、人を見れば
口より黄なるかぜを吹きかくる。
其のかぜにあたればかならず、疫傷寒をわづらふ事とぞ》
ちがって、「風邪」の神のようである。
解説にいわく、
『俗に「風の神」というものは邪気のことである。邪気はものの隙間をうかがって
入りこむ。風の神は暖かさと寒さの隙間を狙うのである。』
そうです。風邪の流行期は季節の変わり目であり、我々の体調が季節変化に
適応を遅れたりすると罹りやすい。
風邪の親戚に、やっかいなインフルエンザがある。
その新型インフルとなると、世界的に大きな被害をもたらす。
大正時代に日本を襲ったスペイン風邪。
その流行に注意を呼びかけるポスターがある。
夫が感染したらしく発熱しているようすで、妻が医者に電話をかけて相談しているらしい。
後ろにある窓から、「風の魔神」が夫に『黄なるかぜを吹き』かけている。
江戸時代と大正では「風の神」の姿は異なるが、
「邪気はものの隙間をうかがって入りこむ」点にかわりはない。
手洗いとウガイ、そして発熱がすれば医療機関に相談することは
いまも大切である。