『百年の誤読』(6)

岡崎宏文、豊﨑由美という手練れの書評家が明治から近年までの話題本、ベストセラーを

10年単位で取りあげて、現代の読書家の目で品定めをするというユニークな本が『百年の誤読』

である。

そこに取りあげられた本のうち、わくわく亭が読んだ本はどれだったか、振り返っています。

読んだ本には○、とくに面白かった、好きだった本には◎をつけています。


第六章 1951~1960年

○『武蔵野夫人』大岡昇平

 『光ほのかに アンネの日記



○『挽歌』原田康子


 『陽のあたる坂道』石坂洋次郎

○『にあんちゃん』安本末子

 『性生活の知恵』謝国権

 『どくとるマンボウ航海記』


この年代では深沢七郎の『楢山節考』だな。つづいて出た『笛吹川』もよかったが、『風流夢譚』

で右翼テロ事件が起きて、断筆して隠遁してしまったのは残念だった。

アンネの日記』は映画に感動して、本をさがしたが、見つからなかった。そのままになっている。

『性生活の知恵』は爆発的なベストセラーで、性行為の体位が人形をつかって解説しているというので

本屋で立ち読みしてみたが、まだ独身時代のわくわく亭は買う気にならなかった(笑)。

『どくとるマンボウ航海記』を読んでいないのは、連載していた週刊誌などで、拾い読みしていたせいで

単行本になっても買わなかったせいだと思う。

『挽歌』は映画にもなって見た記憶があるが、どんな内容の本だったか、すっかり忘れている。

当時70万部も売れたベストセラーだった。

岡崎、豊﨑両人の批評はさんざんなものである。

岡:このヒロインの怜子って、嫌いだなあ。ヤな女。エゴの塊でくそ生意気で嘘つきで、体弱いから

  働かないくせに、だったら煙草吸ってんじゃねーよって感じ(笑)。

豊:わたし、このイヤァな甘ったるさって、54年発表のサガン悲しみよこんにちは』に影響

  されてるんだと思うんですけど。

岡:同感。今読む必要まるでなしって結論だね。

きびしい批評。

しかし、北海道の釧路生まれの原田さんは、同人誌『北方文芸』に一年間連載して『挽歌』を

書き、それが注目されて大手出版社から出版されたわけで、同人誌が注目されていた時代で、

同人誌のよき時代をうらやましい、と思う。

そうそう、それで思いだしたが、サガンの伝記映画が来ているらしい。タイトルもずばり、

サガン」といって。

               (7)へとつづく