新潮文庫『新版 貧困
旅行記』をめくっていると、たくさんの作者が撮影した旅行先の写真が
面白いのだが、『
つげ義春旅日記』に収められた挿絵やイラストの元となった写真が見つかったので
並べてみることにする。
はじめのは、『旅日記』の挿絵で、どことも場所について説明のない田舎のバス停風景。
右の墓場に特徴がある。
墓場と前方の家屋の屋根と電信柱から、おなじ風景とわかる。
つぎの挿絵は『旅日記』の中の「桃源行」の一枚で、
福島県の西山温泉である。
下の写真は『貧困
旅行記』に収められた写真で、昭和46年5月に撮った「
福島県柳津西山温泉付近」
である。
少女のかぶったお面が違うだけである。
どちらも、なつかしい風景というよりも、こころ侘びしい風景で、夢で迷い子になったときにでも
みるような、不安な空気がある。