横尾忠則『Y字路』(2)

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〈暗夜光路 N市ーV〉と作品名をもつ2000年作の「Y字路」である。

背景は漆黒の闇夜である。

光を与えられたY字路の先端が、闇を裂く船首のように立ち向かってくる。

しかし、その奥はどうだろうか。

どちらの路を選んだとしても、すべては、かなたの果てしない漆黒の闇へと通じているばかりだ。

それでも、いずれかを選ばねばならないのだろうか。

Y字の分岐点が、目を向けてくる。

定食、会席の看板のとなりには赤提灯に灯りはあるが、

人の気配は希薄だ。

しかも、敢えて進もうとしても、「止まれ」とサインが示されている。

さあ、どうする。



横尾忠則は〈暗夜光路〉シリーズに次のような詞を付している。


なぜぼくが闇を描くのだろうか。

しかしその理由を問うたことがない。

問う必要もない。

気がついたら

闇を描いていただけのことである。

それも闇と意識しないで

闇を描いていたのである。





わくわく亭文庫にショートストーリー『Y字路』があります。
ご覧になって見てください。

鳴くことのない猫が、「私」の家にどこからともなく訪れて、病床の母を慰めてくれたのですが、
母が死んだあとから姿を見せなくなりました。

ある日、散歩コースをY字路で変えてみたところ、あの猫に遭遇したのですが……
ふしぎな猫の話です。

クリックしてください→Y字路