1939年の撮影で、松園は64歳。気品あふれる
美人画を生涯描き続け、
文化勲章を受章した最初の日
本人女性だった。
1875(明治8)年京都の「ちきり屋」という葉茶屋さんの次女として生まれ、京都の伝統文化にはぐ
くまれて画才を開花させた人。松園は自分が描こうとする絵について、こう述べている。
一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする、香り高い珠玉のような絵
木村伊兵衛がこの写真を撮ったとき、松園は64歳だったが、彼女自身が「一点の卑属なところもなく、
清澄な、香り高い」日本女性であったといえるのではないか。
鏡の前で、舞扇を持つ手の動きを写生している松園の、気品あるうつくしさを、ラ
イカが捉えている。