サムライ vs カウボーイ
このサムライたちは、長崎から江戸に向かうオランダ人たちの護衛をつとめる武士たちで、
いわばボディーガードたち。写真は1863年ころのもの。
幕府の役人たちだったのでしょうか、あるいは道中の通過する各藩から差し向けられた藩士だったのか。
なにしろ、1861年にはアメリカのハリス公使の通訳官だったオランダ人ヒュースケンが攘夷浪士に
よって暗殺されているし、その後外国人に対するテロが年をおって盛んになっていった。
もはや、かつてのような、安全な道中はのぞむべくもなかったのです。
写真のサムライたちは、身なりも整っているし、刀をとっても、かなりの遣い手らしい面構えをしてい
る。ただの臨時雇いのガードマンではなさそうである。
が、郷里にもちかえる記念として撮ったもの。
牛の群れを追ってやってきた長途の過酷な旅が終わり、約束の賃金をうけとって、さてこれから
酒場のおねーちゃんのもとへいって(せっかくの賃金をそっくり巻き上げられることになる)ランチキ騒
ぎをするのだが、その前に、カッコイイ男らしいガンマンの恰好をした記念写真をとっておこうというも
のだろう。
者に憧れるような男たちが、後を絶たなかった時代なのだ。
しかし、お世辞にも、女たちが「キャー、すてき」といってくれそうな面構えではない。
やはり、人のよさそうなカントリーボーイにしか見えないのだ。
サムライ vs カウボーイ
どちらが女たちにモテるだろうか。