タージマハールでドルは使えない

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 タージマハールはインドが誇る世界遺産です。世界中から観光客が訪れて、拝観料を支払って入館します。料金は250ルピー。日本円でおよそ680円。

 これまで観光客は、USドルであれば、5ドル支払えば入場できた。ところが、今後はUSドルでの
支払いは不可能になり、すべて現地通貨ルピーに限ることになるそうです。
 理由はドルの価値が下落するからです。

 インドを旅行中のアメリカ人は強いショックをうけることでしょう。だって、世界どこへいってもUSドルは通用してきたのですから。冷戦時代の旧ソ連でさえ、モスクワのタクシーはドルを欲しがったでは
ありませんか。

 USドルが国際決済通貨としての地位を失いつつあるといわれています。

 世界的なUSドルの、単独ドル安が進行中であり、歯止めがかからなくなっています。

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 ブラジル出身の世界的な人気ファッションモデルであるジゼル・ブンチェンが、今後はUSドルによる
ギャラの受け取りを拒否し、ユーロの支払いを要求すると、先頃宣言しました。

 政治的イデオロギーとは無関係で、純粋に経済的な理由によると説明しています。

 USドルで受けとると、手取りが大幅に減少するからです。

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 USドルと為替の連動制を採用している国々は、極端な輸入インフレに苦しんでいる。香港ドルで給料を受けとるアジアからの出稼ぎ民は、自国に送金しようとすると、この3年で25%減になった。
 
 お金持ちの産油国でも、食品をはじめ生活用品をヨーロッパから輸入しているが、ドル安のため輸入インフレになっており、石油価格は高騰しても、輸入代金も高騰することになる。

 UAEで働く建設労働者はドル安で生活が困窮して、ストライキが頻発している。

 ついに、クウェートは、ドル安にたまりかねてドルとの為替連動を停止しました。

 中東の石油産油国はドルからユーロによる資産運用へ切り替えており、あきらかな「ドル離れ」を
急いでいます。

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 石油価格が暴騰をつづけるのは、産油国の言い分では、アメリカのドル安が原因で、ドルの信任低下
分だけ石油が値上がりしているのだとする。

 アメリカにおける石油の取引相場は1バレルが100ドルをつけてびっくりしたばかり。ところが、さきごろ先物取引の相場において、なんと1バレルが250ドルの値がついたというからショック。

 それは石油は天井知らずに値上がりする懼れがあるということであり、また「ドル安」どころか
「ドル崩壊」のおそれがあるという危険の兆しだといえます。

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 OPEC(石油輸出機構)の最近の会合において、現在石油代金の決済はUSドル建て一本であるが、
これを変更して、ドル、ユーロ、日本円などをまぜて「通貨バスケット」にして決済する方法を検討すると発表しました。
 アメリカが猛反対するから、実現は難しいとしても、産油国におけるドルの信任は急落しているという
明らかな証拠です。

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 そこへもってきて、アメリカ発の「サブ・プライムローン」の大事件。

 一体どれほどのサブ・プライム債券が発行されているのか。

 トータル1兆3000億ドルです。日本円で143兆円です。そのうちの16%が10月時点で
ローン回収不能分として発表されました。

 ドイツ銀行は4000億ドルが不良債権となると見通しを発表していますがが、アメリカの金融機関は
最悪1兆ドルが不良債権化するとみています。1兆ドルとは、日本円で110兆円ですぞ。

 しかも、サブ・プライムローンの契約者の破綻は、これから始まるのです。
今年は、契約金利は一年で4~5%ですが、変動型であるので、来年からは15%~20%にいっきに跳ね上がる。それはもう、日本のサラ金並の高金利だ。

 契約者は月収が15万円くらいしかなくても、土地住宅バブルで、数年して売却したらローン返済しても利益が出るという、住宅金融会社の口車にのせられた人々ばかりだ。

 200万人とも300万人ともいう低所得のローン契約者が、支払い不能で住宅は競売に付され、かれらはホームレスになるばかりか、破綻し、自己破産し、絶望して、アメリカ社会に大きな社会不安をもたらすことになるでしょう。

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 サブ・プライム問題の悪影響から、世界一の銀行である、シティーバンクが中東産油国の国営ファンドから巨額資金を受け容れると数日まえに発表したとおもったら、全米2位のバンク・オブ・アメリカが、シティーバンクとの合併を申し出たというニュースが今朝とびこんできた。

 これでは、アメリカの金融不況が、来年いよいよ本番になるのだろう。

 そして、ドルが世界的に信任を失うことになると、世界経済は不安な漂流をはじめる懼れがあるぞ。