映画『殯(もがり)の森』主演の宇多さん

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 7月3日付け日経新聞夕刊の「夕刊文化」面に写真付きで、宇多滋樹(うだしげき)さんが紹介された。

 宇多さんはさきごろカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した映画『殯の森』(河瀬直美監督)に、ずぶの素人ながら、主演に抜擢された奈良に住む古書喫茶店の店主です。
 
 河瀬監督の映画『火垂(ほたる)』を見てファンになった宇多さんが、奈良市内の居酒屋で河瀬さんと知り合いになり、自分の店を映画の上映会場に開放するなどして交流が深まったそうです。そして、ついには映画に主演するというはこびになったというしだい。
 カンヌの授賞式には宇多さんは紋付き袴姿で登場したらしい。

 わくわく亭は宇多さんとは一面識もありません。日経の記事に興味をひかれたのは、前日の2日
にわが家にとどいた同人誌『黄色い潜水艦』で同人の宇多さんについて書かれた記事をたまたま目にしていたせいです。
 
 その雑誌と、僕が参加している同人誌とを、ここ数年交換し合っているものですから、面識はないのですが、宇多さんの短編小説はこれまでに、いくつか読んでいます。
 作風は、どちらかといえば、地味で誠実な生き方をする人物のスケッチ、といったもの。

 雑誌の編集後記にSさんが書いていました。

 〈編集の仕事をしているはずの宇多さんは古書喫茶店を開いたかと思えば、今度は映画に出演したという。河瀬直美監督の映画で認知症の元編集者という役どころ。
 「地でいけるやん」とからかっていたら、なんとカンヌ国際映画祭へ正式ノミネート、グランプリを受賞した。
 河瀬さんの端でテレビの画面にも登場、新聞取材も受けている。演技は初めて、というスタンス。宇多さんがカンヌの舞台に出ているとは驚きである(後略)〉

 同人誌のお仲間までが、びっくりぎょうてん、といったところ。

 宇多さんは新聞では60歳となっている。これからも河瀬監督とそのスタッフをまきこんで、自分の店を「文化の発信拠点」にしたいと、おっしゃっている。
 
 大泉学園の「ポラン書房」を、つい先日紹介したところだが、街の古書店が「文化発信拠点」にと、ユニークな役どころを果たそうという発想はおなじようだ。

 宇多さんのこれからの活躍がとても楽しみだ。