明治維新ころの日本人平均所得

歌舞伎や時代劇を見ると、江戸時代にしろ幕末にしろ、日本人の暮らしはまんざらでもない

ように見える。主に江戸市中の庶民の生活風景を見ると、衣食住において、まずまずの水準に

見える。

ところが幕末から明治初めに日本にやってきた西洋人たちが書いた日本旅行記や見聞記では、

たとえばイザベラ・バードの『日本奥地紀行』などでは、江戸はまるで森の中の町のようであるし、

江戸を出て、北へ旅をはじめると、驚嘆するほど貧しい国民生活のありさまが記録されている。

明治維新当時の日本人の平均的な生活水準はどの程度だったのだろうか。

知りたいと思っていたところ、2016/7/27の朝日新聞に掲載された岡崎哲二先生の

「読み解き経済」の記事を読んだ。

岡崎先生は東大大学院経済学研究科教授である。



「現在は先進国の日本も、かつては発展途上国だった。故アンガス・マディソン教授(オランダ・

フローニンゲン大学)の推計によると、明治維新直後にあたる1870(明治3)年、日本人

一人あたりの所得は、現代の通貨価値にして737ドルだった。

2010年の各国の一人あたりと比較すると、同じ日本でも約30分の一にすぎず、アフリカの

ザンビアジンバブエといった途上国の水準に近い」


737ドルとすると1ドルを100円レートで計算すると、年間所得は約74,000円という

ことになる。

なるほど、それでなんとなく、納得が行く気になる。