ウェブ小説の衝撃

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「ウェブ小説の衝撃」(飯田一史著 筑摩書房)という本をとても興味深く読んだ。

ウェブ小説とはインターネットの投稿サイトがあって、そこへ投稿した小説のことだが、

投稿者は数十万人おり、無料でアクセスしてモバイルで読む読者は、サイトごとに数百万から

一千万人もいる。

作品はすべて連載になっているから、読者はつねに好きな作品についてケータイをチェックしては

作品の続きを待つ。アクセス回数によって人気は指数化されるから、読者数は明確だ。

人気抜群の小説は紙の本として出版される。このときはじめて作者は収入が得られる。

近年、このウェブ発で紙の本となって出版される小説が、たいへん大きな力となっている。

旧来の文芸誌からスタートして本を出したとしても、なかなか売れる作家が出ないし、

文芸書は売れない。文芸書の販売数は衰退し続けている。雑誌も廃刊休刊が続く。

あの漫画雑誌すら販売部集は最盛期の数分の一になっている。

ところが、このウェブ小説から紙の本として出版されて売れている本は、著者の飯田氏によれば

文芸書全体の半分を占めるようになっているというのだ。

写真のリストを見てみてみよう。2015年9月と10月の「出版月報」による資料であるが、

売れ行きのいい本のランキングである。又吉直樹の「火花」や村上春樹の本が上位にあるが、

マーカーで示されている本はすべてウェブ発の作品で,全体の半分を占める。

わくわく亭は旧来の文芸書の世界しか知らなかった。文芸書の世界を地球にたとえるなら、

自分の知っている地球は北半球か南半球だけになっていたということだ。

まさに「衝撃」だった。、