2014-08-07 消夏法 わが家を訪れる四季 「週間新潮」で福田和也氏が文学の中の納涼風景を紹介している。 谷崎潤一郎『細雪』では「家じゅうで一番涼しい部屋」で三人の姉妹たちが「ごろごろしていた」。 永井荷風の『断腸亭日乘』では昼間は自宅で読書や執筆をし、夜になると街に出て涼をとる夕涼み、 夜涼みが夏の娯楽の一つだった。 漱石の『こころ』では鎌倉の海水浴。 幸田文『きもの』では夏は浴衣。 川端康成の『千羽鶴』では蛍籠。 久保田万太郎の俳句から「一人猪口をふくみて夏の夕かな」など。 そして、貧乏に窮していた林芙美子は納涼どころではなかった。 その『放浪記』では――