清水義範著『考えすぎた人』

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清水義範著『考えすぎた人』新潮社、定価:本体1600円+税


ユーモア小説は、書くのにもっとも難しい小説だと言われている。

清水義範さんは、その難しいユーモア小説を得意とする作家だということだ。

書店でこの本を見つけたとき、そのタイトルで衝動買いした。

『考えすぎた人 お笑い哲学者列伝』

目次に並んだ古今の哲人の名前をみれば、どんなお笑いに仕上がっているのか、買わずに

おれない。ソクラテスからデカルトニーチェハイデッガー、そしてサルトルなどの12人。

帯文は、お堅い哲学を落語のように笑って聴かせてくれるらしいと興味をそそる文句。

 なぜ、こんなことを考えたんだ!?
 
 偉大な哲学者は、みなケタはずれの奇人変人だった。

 哲学アレルギーのあなたに贈るユーモアお勉強小説



感想:

12人の哲学者の生涯と彼らの哲学のエッセンスを盛り込みながら、スタイルの異なる12の

短編小説にしたユニークな企画で、気軽に楽しめた。

なかでも面白かったのは、「ルソーの風変わりな契約」「ヘーゲル弁証法的な痴話喧嘩」と

ニーチェの口髭をたくわえた超人」だろう。

あとの9篇は、それぞれに工夫はこらしてあるものの、ちょっと物足りない。

ユーモア小説を書くことは、やはり難しいのだな、というのが感想である。