中島岳志『血盟団事件』

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中島岳志著『血盟団事件』(文藝春秋)定価2100円+税

1932年2月民政党井上準之助、3月に財界人団琢磨がピストルによって暗殺された。

犯人たちは「血盟団」メンバーの19,20歳の若者たちだった。


あまりにも有名な「一人一殺」を掲げたテロリスト集団事件。

本書は血盟団メンバーとなった若者たちの生い立ち、生活環境、生活苦、精神的な苦悩を洗い出す。

かれらはそうした苦しみの原因は腐敗した資本主義社会と政治にあると思い詰め、解決方法を必死に

もとめる中で、日蓮宗僧侶井上日召と運命的に出遭った。

彼らと時を同じくして陸海軍の青年将校たちは国家改造のためにクーデターを企図していたが、

かれらもまた井上日召と出遭った。

詰め将棋のコマを進めるように、メンバーたちは「一人一殺」へ「クーデター」へと前のめりに

なってゆく。将棋の一手、一手のように、テロ実行へと動く。

ごつごつした、短い文節を使う文体で、書き上げてゆく圧倒的迫力のノンフィクション。

血盟団事件につづいて起きる5・15事件。そのすべての関係者たちの切迫した呼吸を聴くかの

ように事件と背景を克明に生々しく再構成した力作ノンフィクションである。

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