『深夜音楽』評
わくわく亭が尊敬する作家のOS氏から読後感想をいただいた。
感想といえども私信なので氏の名前はOSとイニシャルにするが、まことに
うれしい感想である。
(前略) いずれの作品もおもしろく、本を手放せなくなり、一日で読了致しました。いずれも 手だれの文章構成の手慣れた小説群。どの作品にも小さな謎が秘められ、ちょっと推理物 めいて、その謎解きのような興味で一気に読ませてくれます。そして、それぞれに秘められた 幻想、夢想。巧みな耕成、感銘致しました。小生は脳が老いて、このところ書くことが なくなり、ネタがないのを嘆いておりますが、書き方を教えていただいている感じ、羨ましく 存じ、またお礼申し上げます。 「小石の由来」。子供から見た、ふしだらな、しかし不思議と愛すべき、尊敬すべき祖父。 まっとうな人物に見えてくる。一行目の白い小石。最後まで引っ張って、骨。すばらしいと 思いました。 「ハナトラノオ」。周到に書かれた小説。だまされて、何をだまされたのか。笑ってすませない ような不思議なじいさん。「ハナトラノオ」はセイタカアワダチソウの学名ないし別名なんで しょうね。 「にらむ女」。幻想のような、妖精のような女にあせりとあきらめ。後期老境の小生としては、 実際、身につまされる話。美しくつらい話に仕上がっており、すばらしい小説と存じました。 その他、記憶喪失、耳なり、幻聴など、現実と縄ないになって襲う不気味さと楽しさ、本当に 感動致しました。 よい本をありがとうございました。 江湖の喝采を祈っています。(後略)