尾道学入門講義

4月に入学したばかりの一学年生を対象にした講義。

今年は約340人という大人数の受講生。

1時間30分で、「私の書いた尾道」を講義。

イメージ 1


イメージ 2



最前列の受講生に混じって、毛利和雄さんが聴講してくれた。毛利さんは元NHK解説委員で

現在は福山市鞆に住んで「瀬戸内文化研究所」を立ち上げて研究するかたわら、「文化財学」なる学問

早稲田大学尾道市立大学で講義している。

講義が終了すると学生たちは10分ほどの時間でミニレポートを書いて、それを提出した者から

退席してゆく。

毛利さんから、ミニレポートを渡された。ここらあたりが、いかにも毛利さんらしいところ。

毛利和雄さんのミニレポートを紹介する。


売春防止法が施行されたのが昭和34年。尾道の新開は遊廓であり、千日前が映画館街。

もう一ヶ所防地口の手前に太陽館があった。その頃が映画館の最盛期だった。

映画館がらみの作品二編が紹介される。「アイスキャンデー屋の二階」「寺の下の映画館」

後者は浄土寺近くの太陽館が舞台。

作者を思わせる学生が「わが愛」(有馬稲子出演)にはまり、一日4回上映の作品を朝から夜まで

見る。それを3日間続けたところ、隣の席に有馬稲子似の女性が座っており、髪の匂いが香り、

膝がふれあい、この女性のとりこになる。ところが終映後女性は姿を消し、街中を捜しまわるが

みつからない。

関西の大学から帰省し、痔瘻の手術を受けるが、その恥ずかしい姿を医師の妻に見られる。

それがあこがれの女性だった。しかも、その女性は映画館で隣り合った自分のことを覚えていた

ことが判り、あこがれと恥ずかしい感情が相交わることとなる。

その後数限りなく、そうした経験をした。

青春時代のあこがれと恥ずかしい体験。性にからめて描く、作者が得意とする青春の回想と

なつかしい尾道の光景。

森岡文学は①青春もの、②熟年もの、③江戸時代もの、に分類できる。

①(青春もの)に関して自作を語る講義は圧巻。

なつかしい尾道で「記憶の跡地を訪ねることで、つぎの作品が産まれる。まだまだ書ける」とのこと。

今後のご活躍を期待したい。


このミニレポートを書いたのが学生の毛利君であれば、一も二もなく、及第であります。(笑)


イメージ 3