大分むぎ焼酎 ・二階堂のCM

「風の道を辿って、旅は始まる。

 忘れていた夢に出会い、見知らぬ刻に触れる。

 私の旅は、終わりのない旅かもしれない。

 風の道が、私の道。

 麦100%。

 大分むぎ焼酎、二階堂。」


昭和の記憶をたどるような、郷愁を誘う映像とナレーションとで、かなりの人気があるらしい

「大分むぎ焼酎 ・二階堂」のCMです。

冒頭のナレーションは1992年の「私の道」篇に使われたもの。

わくわく亭もこの二階堂のCMのファンです。

ふと、この二階堂はどんな会社なのか、シリーズ化しているCMはいつから制作されているのか

知りたくなって、調べてみた。

二階堂のHPによると次の通り。


1987年「自然」篇

1988年「水の旅」篇

1989年「街の夢」篇

1990年「刻のオブジェ」篇

1991年「森のオルガン」篇

1992年「私の道」篇

1993年「文士」篇

1994年「風の棲む町」篇

1995年「天文詩人」篇

1996年「シネマグラス」篇

1997年「木登り」篇

1998年「刻の迷路」篇

1999年「旅人の車窓」篇

2000年「風の海峡」篇

2001年「雨宿り」篇

2002年「父」篇

2003年「遠い憧れ」篇

2004年「詩人の島」篇

2005年「砂丘の図書館」篇

2006年「未知の力」篇

2007年「文字のかけら」篇

2008年「消えた足跡」篇

2010年「空に憧れた日々」篇

2011年「黄昏の想い出」篇

2011年「ふりかえると明日」篇


1987年からほぼ毎年制作放映されてきたことが分かった。

2009年が抜けているが、その年にも「大地のささやき」篇というCMが放映されていた

そうだ。テレビで放送後に、なにか著作権に関連する指摘を受けて、放送中止にしたらしい。

2011年に2本制作しているのは、その中止とした1本を補って、1年に1本のペースを

まもったのだろう。

作品の半分ほどは、テレビ・スポットCM部門の地域部門優秀賞、秀作賞、奨励賞などを受賞している

からCM業界内での評価もかなりなものらしい。

制作は広告会社の(株)大広九州によるもので、すべて九州のローカルスタッフの手づくり。

ナレーションの言葉や画面のコピーも、同社のコピーライターが代々手がけてきたそうだ。


二階堂のむぎ焼酎としては「吉四六」がポピュラーで、わくわく亭も飲んだものだ。(このところ

アルコールは節制中)

スポットCMとしては傑作ぞろいの作品を25~6本も放送してきた二階堂とは、いかなる会社なのか。

創業は慶應2年(1866)と古いが、会社設立は昭和39年であるから、昭和の会社と考えて

いいだろう。二階堂酒造有限会社で、資本金は800万円というから、決して大企業ではない。

本社は大分県速見郡日出町にある。

昭和49年にむぎ100%の焼酎を開発して、むぎ焼酎ブームの火付け役になる。

社長さんは杜氏でもあり、現在の二階堂社長は7代目になる。


2009年の「大地のささやき」をのぞく25本すべてを見比べてみた。

初期の作品は、大分県の美しいローカル風景を抒情的に撮影していて、そこがスポットCMの

地域部門賞の受賞につながったと思われるが、例のややくたびれたロングコートを着た

中年の男の後ろ姿を追うシリーズが、詩情あふれるナレーションとともに、わくわく亭には

好ましい。


1998年の「刻の迷路」あたりから、最新作の「ふりかえると明日」まで、ロングコートの

男が、過去の記憶の風景へとたどる背中が、渋い後悔や悔恨や、失った時間の陰をしょっているようで

印象深い。

いくつかベスト作品を選ぶとすると、そうした作風のものになる。


わくわく亭が選んだ9作品は次の通り。

「刻の迷路」(1998)

「風の海峡」(2000)

「雨宿り」(2001)

「父」(2002)

「遠い憧れ」(2003)

「文字のかけら」(2007)

「消えた足跡」(2008)

「空に憧れた日々」(2010)

「ふりかえると明日」(2011)


ベスト3を選ぶとなると、かなり迷うのだが、選ぶとすれば「風の海峡」「雨宿り」「遠い憧れ」

そして次点が「父」となるか。

それでは、ベスト9をYOUTUBEから転載して、みなさんのベスト3をお訊ねしてみたい。


               《つづく》