「別荘橋のできごと」評

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大阪文学学校が発行している雑誌『樹林』2011夏号が送られてきた。

わくわく亭の小説「別荘橋のできごと」評が掲載されているからと、送ってくれたのだ。

評者は佐々木国広さんである。

 72歳の作田は今年になって二度記憶を喪う体験をした。一度目は友人と酒を飲んだ帰りに

2時間近く記憶がなく、路上に転倒したのか後頭部に怪我をしていた。妻は血のついたガーゼを

見て、どこかの駅員が手当てをしてくれたのだろうと言う。

心配になって医師のところへ相談に行き、念のために頭部のCTスキャニングをしてみたが、

異常は認められなかった。元看護師の友人によれば、一過性脳虚血発作の可能性があると

説明してくれた。

二度目は白子川沿いのウオーキングコースで起きた。別荘橋近くのコンビニで20分間の記憶

が飛んだ。ベンチで休憩していたところ、二階家から中年の女が出てきて、怪我をした頭の

消毒をしたことやジンチョウゲの泡風呂に入ったことなどを打ち明けたのだ。

彼は時にその幻影を…。

 筆者(佐々木氏)にも実体験があって、殊更に興味をそそられた。高齢になれば諸々の疾患

が顕れ、死のにおいは伴うが、それでいてまだ色情の残滓もにおいたつということで

合点がいった。