「見よ、飛行機の高く飛べるを」

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真夏座120回公演を観てきた。


永井愛:作「見よ、飛行機の高く飛べるを」

演出:池田一臣

会場:文京シビックホール・小ホール




いまからおよそ100年前の、愛知県女子師範学校で学生時代を過ごす市川房枝をモデルにした

劇です。富国強兵の空気が国を覆う時代、女性達を良妻賢母に育てるという教育方針に反して

社会の貧困や,人権や政治的な問題意識を持つと、その目覚めた者を「主義者」として

指弾する女子師範学校で、めぐまれた、かわいいだけの少女たちの中から、一人の「目覚めた」

女生徒が現れる。彼女は貧農の出で、初めは生徒の仲間に入れてもらえなかったが、やがて

彼女を中心にして社会の現実を見る意識をもとうとする生徒たちの輪が広まる。

そして、仲間の退学処分を巡ってストライキが計画される。

はげしい切り崩しがあって、あっけなくつぎつぎ仲間は脱落する。

「青春のころに味わう昂揚や挫折、恋と女性達の友情、裏切り、それでも明日を信じないでは

いられない若い心を甘くさわやかの描きます」(劇団パンフレット)

ストライキは挫折して、最後まで反抗するのは市川房枝をモデルの主人公ただひとりとなる。

彼女が未来に託す希望の象徴が、学校の上空を飛び過ぎる飛行機。

それを見上げる場面で幕となる。


テーマが明確であり、演出も劇の展開にスピード感があって、長い3時間の一幕もの

でありながら、途中でだれるところもなく、十分に楽しめました。


舞台が愛知県の現在の一宮市なので、少女達が話す方言が面白く,効果的に使われている。

友人の羽藤雄次さんは東京から赴任してきたばかりの「自然主義文学」を読んでいる

国語教師。ストライキを主導する一人の美少女に恋する役柄で、彼の持ち前のおとぼけと

ユーモラスの演技が劇の雰囲気を明るくする。上出来でした。


もう一人の友人、佐野陽子さんは四年生の女生徒の一人。

セリフも多く、重要な役で、この一年間でぐんと女優として成長したと思う。


高宮檀さんが亡くなったため、観劇仲間はいつもの4人が3人になった。

ところがイワシナさんが来なかった。

連絡してみるのだが、電話に出る人がいない。

急な都合が出来たと思うが、少々心配です。

長い劇で、6時半開演で、終わりが9時半だった。

ホールの外へ出て、地下鉄後楽園駅の方へ歩いていくと、

丁度東京ドームでのジャイアンツ対楽天の試合が終了したばかりで、すごい人波です。

タキザワさんと2人で駅ビルの居酒屋「北海道」に上がって、

わくわく亭は生ビール1杯だけ飲む。

11時に切り上げ、地下鉄、電車、深夜バスと乗り継いで帰宅すると、0時15分でした。

女房がほっとした顔を見せました。

途中どこかで、わくわく亭が、また気絶、転倒したりしていないか心配していたらしい。